関電グループ、質問に正面から答えず
スマートメーターを拒否してアナログメーターでの検針を続けさせてきた関西電力の送配電エリアに住む複数の方々から、「スマートメーターを拒否するのなら(今後はアナログメーターでの検針を行わず)過去の使用実績(前月、前3カ月平均、前年同月)のうち、1日あたりの平均使用量が最も少ないものを算定基礎として、それに当月内の日数を乗じた数値に基づいて、当月の電気料金を決めることにするという協定を結ぶ」よう求められた-そのようなご報告、ご相談を複数、いただきました(会報第147号既報)。たとえ需要家(電力消費者)が協定を結ぶことを拒否した場合でも、上記の通り料金請求すると、強引な姿勢を関電側から示されたとのご相談もありました。
関電からの提案は「前月、前3カ月平均、前年同月」という複数の選択肢を示しているので、一見すると、合理性があるように見えます。しかし、協定を結んだ後は実際の電気使用量を計量をしなくなるのですから、この方法だと、結果的に固定料金制になります。つまり、4月から協定を結んだ場合、4月の前月の使用実績は実際に計量した3月の使用量ですが、5月の前月の使用量は上記の方法で決めた4月の使用量、すなわち3月の使用量となります。以後も同じで、過去の実績のうち前月の使用量はずっと同じ数字です。過去3カ月の使用量、前年同月の使用量も同様に、結局は同じ数字に固定されます。
スマートメーターを設置されるぐらいなら、それでも良い、と協定を受け入れた方々がいらしゃる一方、「家を長期不在にして電気を使わなかった場合などでも、過去と同じ料金を請求されるのは納得がいかない」という方もいらっしゃいました。ごもっともですので、当会として質問状を送ることにしました。
メーターを担当するのは送配電会社ですので、これまでと同様、関西電力送配電に質問状を3月に送りました。
関電送配電「お客と協定結ぶことはない」
同月中に回答が届きました。「弊社が使用量協定を行うのは小売電気事業者であり、需要家と使用量協定を行うことはありません」という、協定自体を否定する内容だったので、少々驚きました。この回答内容を、私(網代)なりの理解で解説すれば、つまり「関西電力送配電」が電気の送配電・計量を行い、「関西電力」が電気の小売を行うという役割分担(上の図)になっているので、送配電事業者である関電送配電と需要家とは直接の契約関係にはない、したがって協定を結ぶことはない、と、関電送配電は言いたいのでしょう。そして「関電送配電と需要家が協定を結んでいる事実はない」のだからと、当会による質問にほとんど答えませんでした。
一方で、関電送配電が同じ回答書の中で「(需要家の)ご理解が得られない場合には、月に1回の現地検針時以外には電波を発しないスマートメーターの設置にてご対応させていただきます」とも答えている通り、関電送配電と需要家との間でメーターについて直接やり取りを行っていることも事実です。協定について、関電送配電がまったくあずかり知らないということは、考えにくいです。
スマートメーター拒否は故障と同じ扱い?!
需要家と協定を結んでいるのが関西電力送配電でないのならば、小売を担当している関西電力なのでしょうから、関西電力へ質問状を3月に提出しました。
4月に関電から回答が届きました。回答は「計量器の故障等によって使用電力量を正しく計量できなかった場合には(略)規定に則り、お客さまとの協議によって料金の算定期間の使用電力量を決定しております」「送配電事業者から弊社への計量結果の連携については、使用電力量もしくは計量不可(計量器の検定有効期間切れや故障等)につき協定対象であるといった内容に留まっていることから、過去に計量した計量器がアナログメーターであるか否かも含めて、お客さま宅に設置されている計量器の種類そのものについて弊社では知り得ませんので(「過去の使用実績」はアナログメーターで計量した使用量なのかどうかについては)回答はいたしかねます」との回答でした。
言い換えると、「『〇〇さん宅の計量ができなかった』との連絡が関電送配電から当社(関電)にあったから〇〇さんへ協定をお願いしたのであり、計量できなかった理由が故障なのかスマートメーター拒否なのかまでは知らない」というのが関電の言い分です。本当にそうなのでしょうか。小売業者の立場から見れば、計量できなかったせいで通常通りの料金請求できないのは、送配電事業者の落ち度です。理由も伝えずに「計量できなかったよ、ゴメンね」で済む話なのでしょうか。
そもそも関電と関電送配電はズブズブの関係で不祥事まで起こしています。全国の電力会社で小売部門と送配電部門を分社化したのは、電力小売自由化にともない、送配電事業者が、新電力などすべての小売事業者に対して公平に振る舞うためでした。しかし、関電送配電が持つ個人情報(契約している新電力など)を関電の小売部門の社員らが不正に閲覧していたことが、一昨年発覚しました。
そのような両社が(そのような両社だからこそ?)、スマートメーター拒否にともなう協定の問題については、互いに知らん顔をしています。もっと突っ込みたいところですが、関電グループの根本的な問題として、質問を書面でしか受け付けないことがあります。これまで再三要求してきましたが、担当者の氏名すら明かしません。したがって、関電グループとは、隔靴掻痒なやり取りになってしまっています。
関電、関電送配電双方の担当者に同じテーブルに並んでもらい、関電を許せないという地元の需要家とともに直接問いただすという機会を、何とかして作ってみたいものです。【網代太郎】