超低周波電磁波による健康影響についての研究のレビュー 小児白血病で一環した影響 アルツハイマー、うつ病なども

 高圧電線や変電所から発生する極低周波電磁波が健康に与える影響について、過去46年間の世界20カ国以上の研究(計51件)を調査した、クロアチア・スプリット大学のPetar Todorović(トドロヴィッチ)らによるスコーピング・レビュー[1]論文[2]が3月に発表されました。もっとも一貫してリスク上昇の影響が報告されたのは小児白血病で、複数の研究において、0.3~0.5μT以上の磁場に曝露した場合、相対リスク(RR)が3.8~5.1倍に高まりました。これは国際がん研究機関(IARC)が超低周波磁場について「ヒトに対して発がん性がある可能性がある(グループ2B)」と分類したことを裏付けています。
 主観的症状および神経心理学的所見(頭痛、うつ症状、認知機能など)に関する研究でも、複数の研究で比較的一貫したリスク上昇が報告されました。
 神経変性疾患については、アルツハイマーでリスク上昇が報告されました。
 論文の表3に、健康影響の種類ごとの傾向がまとめられています。

 調査した51件の研究のうち、健康への悪影響との関連を認めたものは24件(47%)、影響なしとしたものは18件(35%)、弱い関連または混合した結果が9件(18%)でした。
 著者らは「報告された傾向の数値は、結果の記述的な整理に過ぎず、関連性の強さや信頼性を示すものとして解釈すべきではない。……これらの研究で報告された統計的関連性は、因果関係を立証するものではない」としつつも、「特に小児白血病に関して、複数の研究にわたり一貫した関連性が確認されたことは、今後の研究にとって重要な基礎を提供するとともに、公衆衛生政策における予防原則の適用を支持するものである。確立された生物学的メカニズムが存在しないことは、潜在的な健康影響を排除するものではない。むしろ、疫学的パターンと根底にある病態生理学的経路の両方について、継続的な調査が必要であることを強調するものである」と指摘しています。【網代太郎】

[1]スコーピング・レビューは、あるテーマについて、「どのようなな研究が・どれくらいあるか」の全体像や範囲(スコープ)を把握することを目的とする研究手法。システマティック・レビューが行う各研究の品質についての考慮は行わない。
[2]論文のタイトル:Health Effects of Extremely Low-Frequency Electromagnetic Field Exposure From High-Voltage Power Lines and Substations:A Scoping Review of Primary Empirical Research

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