急増が予想される“蓄電所”の問題点

秋田県能代市の風力発電用の蓄電施設=筆者撮影

 原発を減らすために太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーの確保が必要と言われます。しかし、再エネであっても利益優先過ぎる開発によって自然環境を破壊する場合があることなどについての反発も広がっています。今後、設置の急増が予想される“蓄電所”も、同じ轍を踏まないか、懸念も指摘されています。
 蓄電所は再エネを普及させる切り札とされ、国も推進しています。天候に左右されて供給が不安定だと批判されがちな太陽光発電、風力発電は、電気が余る時間帯に電力をためて、需要に応じて送電線へ電気を供給できる蓄電所と組み合わせれば、その欠点を克服できます。
 蓄電所ビジネスの国内市場規模は、2030年度には24年度の約10倍の4240億円に達するとの予測[1]もあり「蓄電所バブル」という言葉も聞かれます。

燃え尽きるまで消せない火災

 一方で、蓄電所には懸念されることがあります。東京工業大学原子炉工学研究所の澤田哲生助教は、火災について指摘しています[2]。スマホなどのリチウムイオン電池が火災・爆発を起こすことが、たびたびニュースになっています。蓄電所の系統用蓄電池の大きさと量はスマホの比ではなく、それこそが大きな問題であるとして、澤田さんは次の通り指摘します。「火災を起こしたスマホ電池は、多量の水に浸して窒息させれば消火できることもある。しかし系統用蓄電池はスマホ電池より遥かに大きいため、窒息消火はできない。燃え尽きるのを待つしかないのである。蓄電池の主な材料であるリチウムなどは有害な化学物質であり、その火災はヒトや動物に有害な毒ガスを撒き散らすだけでなく、環境(大気や水系)を長期間にわたって汚染し続けることにもなる」。
 火災のほか、自然災害(特に浸水)による故障・事故のリスク、周辺のヒト・動植物・環境への二次被害リスクがあると、澤田さんは指摘。これらのリスクを軽減するため、リチウムイオン電池を用いる系統用蓄電池には、安全性の向上、適切な土地選定、環境アセスメント、事故対策、などが不可欠であると述べています。

パワコンからの電磁波

 もちろん、電磁波の影響も懸念されます。蓄電所とつながる送電線からの超低周波磁場のほか、太陽光発電施設と同様にパワーコンディショナーから強い高周波電磁波が出ます。電気は交流のままでは蓄電できないので、送電線から受け入れた交流電気を直流に変換して蓄電する必要があり、それを送電線へ送るときには交流に再変換する必要があります。交流、直流を相互に変換するための装置が、パワーコンディショナーです。

蓄電所用地転売目的のブローカーも

 ブローカーが蓄電所の建設用地を買い漁っているという報道もあります。ブローカーは蓄電所用の土地を確保すると、送配電事業者に送電網への接続を申し込みます。送配電事業者は工事のコストなどを精査して回答。申請者がそのコスト(負担金)を支払うと、工事が始まります。しかし、申込数が多くて順番待ちの状況といいます。そして、負担金を支払って送電網への接続の権利を獲得したところで、土地の取得費と負担金にさらに上乗せして高値で転売するブローカーもいます。転売を手がける会社の社長は「2メガワットの蓄電所では、土地と送電網への接続権を合わせて7000万~1億円が相場だ。1000万円の土地、3000万円の負担金でも採算が十分合う」と語っています[3]。このような“商売”のあり方が横行する中で、安全は確保されるのでしょうか。
 蓄電所の立地は、安全確保、環境保護のための規制が必要です。また、原発を減らした分の電気をすべて再エネでまかなうという発想ではなく、電力消費量の総量をできるだけ減らしていくことや、大規模に発電して遠方へ送電するという電力システムの抜本的な見直しが必要です。【網代太郎】

[1]矢野経済研究所「蓄電所ビジネス市場に関する調査を実施」2026年1月20日
[2]澤田哲生「系統用蓄電池の問題点とはなにか?」2025年11月26日
[3]日本経済新聞「蓄電所は『第2の太陽光開発ブーム』事業者が殺到、権利転売も活発」2025年12月10日

Verified by MonsterInsights