セルラー使用はほどほどに

オ・エスタード・デ・サンパウロ<ブラジルの邦字新聞>(2000.7.25)

携帯電話機から電磁波。近く一般へ安全説明書
 遺伝子組み換え穀物とセルラー電話(携帯電話)用途は無関係だが、どちらも近年急速に発展した科学の産物ということで共通点、また、人体に有害ではないかと一部から疑いを持たれることでも共通点がある。遺伝子組み換え穀物原料の食品、または飼料で肥育された家畜や家禽を人間がいくら食べても「有害だった」という報告はまだないが、セルラー電話の場合は、ある程度、送受話器から電磁波が流れ出る。これは、はっきりしている。人体には非累積性なのでガンにはかからないが、長い間の人体への影響は分からない。単に国連の世界保健機関(WHO)が二〇〇三年にセルラー電話は人体に有害かどうかについて決定的に近い調査研究結果を発表することになっている。これとは別にブラジルでは今までにセルラー電話に使っていた電池の回収方が政府からメーカー側に命令されている。カドミウム系原料の乾電池が多いからである。

人体への影響は未知数
 「なるべく耳元から遠くへ離して聞いて下さい」とブラジル電磁気機器との共存協会(ABRICEM)のパウラ・スカルジノ女性専門家のアドバイス。放射能測定専門研究班の一員だ。少しでも耳から離すと頭脳ヘの電磁波効果は格段に薄くなるという。知ってか知らずか、雑踏する往来や店内、地下鉄内などでセルラー電話を耳窩に密着させて通話している人をよく見かける。
 繰り返す通りセルラー電話からの電磁波は累積性無く、ガンその他の危険性は具体釣には報告されてはいない、というものの、メーカー筋では「一々電磁波をテストしてからセルラー電話器を市販する注意を払っている」と強調する。結局、現在のところ、セルラー電話の電磁波は「人体に有害だ」「いや無害だ」というどちらにも決め手がないままに使用だけが爆発的に先行している。
 アメリカの全米セルラー・テレコム工業協会はこの八月一日からは市販のセルラー電話に電磁波レベルの表示を行うことになった。
 ブラジルにおいては前記ABRICEM協会が調査機関、メーカー、セルラー電話運営会社などとタイアップして、やはりセルラー電話の電磁波にあり得るリスクと注意を書き込んだ説明書を一般のユーザ土に配布する針。
 現在までのところ、国連の世界保健機関は、人体が許容する電磁波の数量についてだけ限度を示した。それ以上の電磁波を発するセルラー電話器をメーカーは製造してはならない、ということにもなるが、これを一般ユーザーにあてはめてみると「一日中セルラー電話で通語するようなことは止めた方がいい」、同じく「長時間話すなら地下鉄や店内の雑踏は避け、なるべく静かな所でセルラー電話器をできるだけ離してしゃべった方が身のため」ということになろうか。児童、幼児、妊婦などはなるべく短時間で切り上げるに越したことはない。
 いずれにしても前記ABRICEM協会は、外国での調査と併究を基礎に、ブラジルでも研究を振興するためモトロラやNECの資金援助を得る相手側の約束を得ている。
 一方、国際電信電話庁(ANATEL)は国内のセルラー電話運営会社に対し、人体許容の電磁波上限に関する告示を発している。


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