WHO・EMFプロジェクト
「慎重なる回避政策」支持へ

□WHO、10月3日に政策転換の声明出す
 国連機関WHO(世界保健機関)国際EMF(電磁場)プジェクトは、10月3日に慎重なる回避政策を支持する内容を含む勧告を発表した。
 内容は、電力線(送電線や配電線)を設置する際は住民への電磁波被爆を低減する方策を考量すべきだし、政府や企業は被爆量低減のための安全かつ低コストな方法を住民に提示すべき、と勧告している。
 また勧告では、極低周波電磁波(ELFEMF)とがんに関するファクトシ−ト(概況報告書)も含まれている。この新しいファクトシ−トはウェブサイト〈www.who.int/inf-fs/en/fact263.html〉で英文で見られる。

□国際がん研究機関の2Bランクが引き金
 WHO国際EMFプロジェクトの今回の勧告は、6月27日発表の1ARC(国際がん研究機関)評価ワ−キンググル−プによる極低周波電磁波を「2B(発がん可能性あり)」とランク付けしたことに基づいて出された。

□3年前と様変わりの見解
 3年前の1998年にWHO国際EMFプロジェクトは極低周波電磁波についてのファクトシ−トを発表したがその時のファク トシ−トは今回と全く別の見解だった。というのは、その時 は「ICNIRP(国電離放射線防護委員会)が勧告した曝露基準以下では一般人(住民)に対する特別な防護方策は全く必要ない」としていたのだ。
 ICNIRPは以前から“企業より”と批判される立場の見解が多い民間機関だが、ここの基準は電磁波の刺激作用や熱作用といった急性の健康被害に対してのレベルの基準で、がんなどの非熱作用によるリスクは考慮していないものである。その時のEMFプロジェクト責任者マイケル・レパチョリ(Michael Repacholi)は「各国政府に慎重なる回避を勧告することはWHOの任務でない」と言っていた。その点では今回の勧告は、WHOの「政策大転換」と言っていい。


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