海外情報

(抄訳 TOKAI)
マイクロウェーブ・ニュース
2002年7〜8月号より

米カリフォルニア州EMF計画

健康への強い警告を発表、しかし政策は出ず

□8年間、七百万ドル費やした計画
 カリフォルニア州健康サ−ビス局(DHS)は8年間、七百万ドル(8億3千万円)以上をかけ、商用周波数(60ヘルツ)電磁波の健康影響について研究する「カリフォルニア州EMF(電磁場)計画」を進めてきたがまもなく、これまでで最も強い警告を発表するであろう。
 発表予定の最終報告書を書いたのはレイモンド・ニュ−トラ(Raymond Neutra)とビンセント・デルピッツォ(Vincent Delpizzo)とジェラルディン・リ−(Geraldin Lee)の3人で、報告書は「EMFは小児白血病・成人脳がん・ALS(筋萎縮性側索硬化症)・流産の原因とほぼ信じていい(be inclined to believe)」と結論づけた。
 この報告書は付属資料を含めると五百ペ−ジ以上だが、まだ発表されていないがそのコピ−をMWNは入手した。カリフォルニアEMF計画責任者ニュ−トラは「内部の手続きで発表は遅れているがこの夏の終わりまでにはPUC(カリフォルニア公共電力委員会)に最終報告書は提出される」と語った。

□しかし具体的政策勧告は含まれず
 ニュ−トラ、デルピッツォ、リ−の3人は「電磁波の発がんリスクを2B(ヒトに対して発がんの可能性あり)とした98年6月のNIEHS(米国環境健康科学研究所)勧告や、4ミリガウスで小児白血病リスクが約2倍とした英国NRPB(放射線防護局)のAGNIR(非電離放射線諮問委員会)報告や、NIEHSと同様に電磁波の発がんリスクを2BとしたWHOのIARC(国際がん研究機関)の決定に関与したそれぞれの評価メンバ−の連中よりもっとEMFの健康へのリスクは大きいとみなしている」と報告書で書いている。しかし健康リスクの防衛の方法についての政策を実施せよとの勧告は含まれていない。ニュ−トラは「この段階での私たちの役割はPUC(カリフォルニア公共電力委員会)に“電磁波は相当な程度問題であり、電磁波はシリアスな課題である”ことを伝えることにある。そしてもし規制についての公聴会がもたれるならPUCがとれる複数の政策選択の是非を示すことになろう」と語った。

□人々は警告を受ける権利がある
 デルピッツォは「人々はEMF(電磁波)について警告を受ける権利がある。しかし、EMFの被曝をどのように軽減するかの方法についてはまた別の場面で決定される問題である。」と語った。
 政策勧告まで至らなかったのはEMFと健康とのメカニズムが解明されなかったためであるが、しかしながらそのことが疫学調査結果を軽視することにはならない、と3人は考えている。
 3人はまた、「アルツハイマ−病・男女の乳がん・成人白血病・心臓病・自殺などは小児白血病・成人脳がん・ALS・流産とEMFの関係に較べると証拠は弱いが、関係を除外することはできない」と結論づけた。

3人の博士のリスク点数表(100点満点でリスクが何点かを示す)
 小児白血病成人白血病小児乳がん成人乳がん女性乳がん男性乳がん流産ALSアルツハイマー
ニュ−トラ545211511139515220
デルピッツォ958545804945565540
リ−654020601520595515

会報第18号インデックスページに戻る