<海外情報>

『労働生活』2004年第2号
(翻訳:TOKAI)

スウェ−デン放射線防護局が携帯電話にハンズフリ−使用を推奨

□ミルドの提唱をやっと放射線防護局が認める
 スウェ−デンのオレブロ(Orebro)大学の教授で「国立労働生活研究所」の研究員でもあるクジェル・ハンソン・ミルド(Kjell Hansson Mild)は「携帯電話を使う人にはハンズフリ−セット(イヤホンなどを使って頭に直接携帯電話を付けない方式)を使うよう私は前から推奨してきた」と語る。
 ミルドは長い間、この持論を展開してきたが、いまようやくスウェ−デン放射線防護局(SSI)もこの考えに同意するようになった。放射線防護局は最新の報告書で、健康に気をつかう人は携帯電話にハンズフリ−セットを使うべきだし、長電話の場合はコ−ドのついた通常の電話を使うべきだという見解を出した。そして調査のために3千万クロ−ナ(約4億4500万円)がさらに必要だと放射線防護局は主張している。
 この放射線防護局報告書について「やっと放射線防護局もこのレベルに達した」とミルドは歓迎した。

□いろいろ動物実験も行なわれてきた
 ミルドは「とてもうれしい。私たちの研究グル−プは、ずっと前から放射線防護局が従来の考えを改め今回の見解になるようにと願ってきた。何人かの研究者は、携帯電磁波ががんを誘発させることを示す動物実験やら染色体を損傷させることを示す動物実験を行なってきた。他にも携帯電磁波がタンパク質を変質させたり、DNA損傷を引き起こす等の動物実験も行なってきた。それらの動物実験は、携帯電磁波が安全でないという懸念を示す兆候であるが、一方で徹底的に因果関係を証明するには研究期間が短いものであることもたしかだ。携帯電話本体を手で持たなくていいハンズフリ−方式の携帯電話を使うことで、頭部の局所SAR(電磁波エネルギ−吸収比)は百倍軽減する。」と語った。

□SARを下げた携帯電話はいまでも可能
 SARとは携帯電磁波を使う人の頭部にどの位電磁波が吸収されるかという値のことだ。TCPとは通話で使われる携帯電話の出力はどの位かを示す値だ。市場に出ている携帯電話の半分は、「最大TCP」の12.5%以下である。
 ミルドは語る。「研究結果が多くの懸念を立証するのであれば、携帯電話メ−カ−は電磁波をあまり出さない良い質の携帯電話をつくるべきだ。メ−カ−はそのためのノウハウをすでにもっている。労働組合はスウェ−デンのSAR値をスウェ−デンが採用している『局所SAR2.0W/s』か米国などが採用している『局所SAR0.8W/s』に引き下げるよう要求している。すでに『局所SAR0.1W/s』の携帯電話も開発され市場に出ている。スウェ−デン国立労働生活研究所の役割は、携帯電話の電磁波曝露量を減らす方法についてもっと研究することだ。オレブロ大学で、私たちは携帯電話電磁波の人体への影響のメカニズムを研究し、携帯電話とがんの関係を疫学調査で研究していくつもりだ。」

□もっと研究するため研究資金が必要
 またミルドは次のようにも語った。「がん患者の症例を現在集めている。また携帯電話を使うとめまいや疲労感をもつという自覚症状についても研究を進めている。しかもSARが高い携帯電話を使うとそれだけめまいや疲労感を使用者が感じることは知られている。このことは携帯電話の問題点の一つの兆候だ。まだこの仮説は証明されてはいないが。携帯電話の人体への影響のメカニズムについてもっと研究するためには資金が必要だ。微弱な電磁波が人間の生体組織にどのようにして影響するのかが知りたい。私たちはすでに強い電磁波がどのように生体に作用するかについてのメカニズムは知っている。だから現行のSARが設定されたのだ。しかし普通の携帯電話を使ってしかも短い通話時間の後、生体変化を調べてみると、現行のSAR値より低い携帯電話電磁波で生体に“なにかが起こっている”のを私たちは確認している。この問題について答を出すため、細胞レベル・分子レベルでの徹底した研究がなされねばならない。」


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