大阪府池田市古江町で基地局反対運動起こる

ドコモが古墳を壊して基地局建設基礎工事に着手

□町の丘陵部に突然ドコモ基地局計画
 池田市は大阪府の西北部に位置し兵庫県川西市に接している。男が小学校に凶器を持って乱入し、児童を無差別殺傷したあの忌まわしい事件で全国にその名を知らしめたことは記憶に新しい。
 古江町は池田市の北西部にあり猪名川に隣接した丘陵部にある。この町には、古江古墳という、直径13メートル、高さ1.2メートルの円墳が、1976年に見つかった。6世紀につくられたものとみられ、横穴式石室も発見されている。したがって、古江古墳は、文化財保護法に基づく届け出が必要な埋蔵文化財包蔵地として指定されている。また土砂災害防止のための砂防法に基づく届け出も必要である。
 そうした土地に、NTTドコモは高さ14.8メートルの携帯電話中継鉄塔を建設しようとした。

□下請け使って基礎工事強行
 昨年(2004年)11月頃、ドコモは下請け業者を使って当時の自治会長に簡単な説明をしただけで、内諾を得たとして住民に内緒で工事計画を進めた。すでに下請け業者は、この建設用地が府風致条例と砂防法に基づく届け出が必要な土地であることを、池田市や府の池田土木事務所を通じて知っていた。
 それなのに、今年4月下旬に砂防法の届け出はしたものの、風致条例の届け出はしないまま鉄塔建設の基礎工事を着工した。これに驚いた住民が動き、工事は中断し、いったん風致条例と文化財保護法に基づく届け出を提出することになった。しかしこの段階で、古墳は既に大部分が掘り起こされ、コンクリ−トの基礎工事が行なわれ、側溝の一部が残るだけ(用地近くの住民に話)という無残な状態だった。

□2005年6月11日の臨時総会で学習会開催
 古墳破壊と電磁波の二つが問題だが電磁波問題については住民もよくわからない。そこで、2005年6月11日(土)に、電磁波問題の学習会を兼ねて、自治会臨時総会が開かれた。講師に電磁波問題市民研究会事務局長が招かれたが、総戸数70弱の自治会に住民50名以上が参加した。その場には、府会議員・市会議員・市の環境関係課長も出席した。
 この臨時総会兼学習会が契機となって、住民たちはフルに動きだした。その成果として、毎日新聞(2005.6.16 関西版)が1面トップに書き、テレビでも大きく報じられた。しかし、報道されたのは「古墳問題」のみで、住民にとって最重要な電磁波問題(鉄塔問題)はまったく触れていなかった。
 この問題で感じたのは、NTTドコモという会社の文化レベルの低さである。自己の利益のためなら、古墳等の文化財を破壊しても平気でいられる企業体質には、驚かざるえない。だから子供の健康も考えず、携帯電話を平気で子供にも売りまくろうとするのであろう。途中経過だが、中継基地局は建てないことが正式に決まった。


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