話し合うことが罪になる「共謀罪」は基地局反対協議に適用されかねない

 今国会で論議されている「共謀罪」とは、簡単に言えば「犯罪を実行しなくても事前にその犯罪について話し合った(論議した)だけで罪に問われる」という恐ろしい法律です。
 正式には「組織犯罪処罰法改正案」です。名前だけはけっこうな法律です。元々、テロや人身売買や麻薬取引など国際犯罪を未然に防止しようという「国際組織犯罪防止条約」が背景でした。日本でも2003年5月にこの国際条約を批准し、それに見合った国内法整備の必要となりました。とこらが「権力は暴走する」という格言のとおり、この世界の動きに悪乗りし、自民党と中央官僚が「何でも自分の都合のいいように利用できる法律にしたい」と願望し、「共謀罪」というとんでもないものが登場したのです。
 あまりにも品のない法律なので、自民党内の良識派も眉をひそめています。自民党の柴山正彦議員は、衆議院法務委員会で「あいまいな基準によって刑罰権の行使がなされる、そういう可能性が高い類型だなということは、これはもう認めざるを得ないというように私は思っています」(2005年10月14日、衆議院法務委員会議事録)と語っています。
 たとえば、基地局建設に反対しようと住民が話し合ったり、送電線計画にどうしたら有効に反対できるか住民が話し合えば、この共謀罪の対象になりかねません。こんな法律ができたら、国や企業が「国の基準以下だから」といって、住民無視で基地局や変電所や送電線を強引に建設しようとしても、住民たちは手も足も出なくなります。
 フランスでは、国際的な組織犯罪に限定しており、日本のように、市民団体を始め何から何まで網にかぶせようとはしていません。
 当会は共謀罪に反対します。


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