<海外情報>

デ−リ−・テレグラフ
2006年4月26・29日
(抄訳:TOKAI)

送電線周辺に家を建てるべきでない
イギリス保健省任命委員会が勧告の予定

□送電線と小児白血病に相関があるため
 「送電線周辺に家は建てるべきでない。その理由は、小児白血病発症リスクと送電線電磁波との関連性が指摘されているため」という勧告が、英国保健省が任命した専門家委員会から出される予定だ。
 英国では「オックスフォ−ド大学小児がん研究グル−プ」のジェラルド・ドレ−パ−博士が保健省(Department of Health)の委託で7年間研究した結果、「高圧送電線周辺に住む15歳未満の子供の白血病リスクは、通常の2倍になる」という内容を、2年前(2004年)に発表した。

□極低周波電磁波利害関係者勧告小委員会の報告  このドレ−パ−報告の発表を受けて、2004年10月に極低周波電磁波利害関係者勧告小委員会(the Stakeholder Advisory Group on Extremely Low Frequency Electromagnetic Field)(Sage,保健大臣の任命した委員会)が設立され、近いうちに、Sageは冒頭の内容のドラフト(草案)報告をすることになっている。
 Sageには、保健省職員、ナショナル・グリッド(株)(電力会社)、健康保護庁職員、副首相府職員、不動産業界メンバ−、学者(ブリストル大学等)、市民団体(電磁波は有害と考えている団体)といった、まさに“利害関係者”が参加している。
 Sageのメンバ−である市民団体・パワ−ウォッチのアレスデア・フィリップスは「このドラフト報告を作成したメンバ−の多数派は、予防的勧告を支持する立場に立っている」と語った。

□送電線から70m以内は建てない方がいい
 ドラフト報告は「一定レベル以上の電磁波を浴びる場所や送電線から230フィ−ト(約70m)以内には、家を建てるべきでない」と、ガイドラインの変更を勧告する予定である。また、家庭内配線にも言及している。このドラフトは6月に発表されるであろう。

□資産価値が送電線で下がる
 ドラフト報告の勧告が受け入れた場合は、対象となる13万軒の資産価値は10%〜25%下がるとしている。また、高圧送電線は230フィ−ト(約70m)、普通送電線は115フィ−ト(約35m)以内に、家は建てるべきでないとしている。ナショナル・グリッド(株)の科学アドバイザ−であるジョン・スワンソンが書いた内部秘密文書に示されているのは、イングランドとウェ−ルズの該当家屋7万5千軒を強制買収する方向だという。
 ドラフト報告に示されているのは、40万ボルト送電線の230フィ−ト(約70m)以内の2万5千軒と27万5千ボルト送電線の同範囲以内の5万軒の資産価値は、4分の1減り、460フィ−ト(138m)以内の5万5千軒の資産価値は10%減るとしている。


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