<海外情報>

マイクロウェーブニュース
2007年1月号
(抄訳:TOKAI)

欧州5ヵ国インターフォン研究で携帯電話と脳腫瘍の関係を認める

□北欧4ヵ国と英国の共同研究結果
 現在、WHO(世界保健機関)では13ヵ国に対し、「携帯電話と脳腫瘍」の関係があるか否かに関する研究計画「インターフォン計画」(Interphone project)を進めているが、その一環であるデンマーク・フィンランド・ノルウェー・スウェーデン・英国の5ヵ国で集められたデータに基づく新しい研究結果が、2007年1月21日に発表された。

□10年以上で神経膠腫(グリオーム)増大
 5ヵ国の共同研究チーム発表によると、10年以上携帯電話を使用すると電話を当てている側の頭部に、脳腫瘍の一種であるグリオーム(神経膠腫)が約40%増大するとしている。この研究結果は統計学的に有意であり、かつ携帯使用年月が長ければ長いほどグリオームの発症率も増大することがわかった。この研究結果は今度出る『国際がんジャーナル』(the International Journal Cancer)の最新号に掲載される。また『国際がんジャーナル』の公式ウェブにも掲載される。

□ドイツやスウェーデンでも認められた
 昨年、ドイツのインターフォン計画参加研究チームが発表した研究結果でも、携帯電話を10年以上使用するとグリオーム(神経膠腫)が増大する結果であった。
 今回の5ヵ国による研究では、1521人のグリオーム症例(ケース)と3301人の対照(コントロール)による「ケース&コントロール」(症例対照疫学調査)調査として実施されたが、そのうち携帯電話を10年以上使用してグリオームになった症例数は143人であった。2006年のドイツ研究では、携帯電話を少なくても10年間使用した症例数はわずか12人であった。
 スウェーデンのエレブロ大学のレナート・ハーデル(Lennart Hardell)とスウェーデン国立労働研究所のクジェル・ハンソン・ミルド(Kjell Hansson Mild)による研究では、10年間携帯電話を使用すると脳腫瘍と聴神経腫のリスクが増大すると出た。
 今回の5ヵ国研究結果について、スウェーデン国立カロリンスカ研究所のアンダース・アールボム(Anders Ahlbom)はこう語った。「今回の研究結果は、まだ課題が残っており、もっとデータが必要だ。とくに長い使用期間のデータがもっと実施される必要があるといえよう」。
 フィンランドのインターフォン研究チームメンバーである、STUK(フィンランド放射線・核安全庁)のアンシ・オービネン(Anssi Auvinen)も「長期間の研究がもっと必要だ」と語っている。

□長期間使用するとなにか変化が起こる?
 2007年1月20日付『ロンドン・タイムズ』が、第1面記事でローリー・チャリス(LawrieChallis)の談話を載せている。ローリー・チャリスは「MTHR」として知られている「携帯電話とがん・パーキンソン病・アルツハイマー病の関係を調べるため、携帯電話を使用する20万人を対象とする調査」の責任者である。その彼が「タバコにしても広島の原爆症にしても、10年経ってから様々な健康問題が起こった」とBBCで語ったことが掲載されている。また、デンマーク・フィンランド・スウェーデン・英国の4ヵ国の疫学者から構成される、国際的共同研究チームによる共同研究が計画されているとアールボムは語った。
 今回の一連の記事に対し、携帯電話企業からはなんの反応もない。


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