新刊本の紹介

表題:告発・電磁波公害
著者:松本建造
出版社:緑風出版
価格:1900円+税

 電磁波が健康に及ぼす危険性については世界的に研究が盛んだ。世界保健機関(WHO)の超低周波電磁波(送電線、電気製品など)の新指針も発表され、慢性曝露の危険性が指摘された。欧米では電磁波問題の報道も多く、規制も強化されている。ところが、日本では問題を指摘する報道は極めて少なく政府の規制はおざなりで、野放し状態といえる。しかし現実には、電磁波過敏症がますます増加し、職場では労災問題を引き起こしている。WHOの委託で始まった日本の超低周波の健康影響についての疫学調査は、小児白血病のリスクが高まるとの衝撃的な内容から、政府から葬られてしまう。  本書は、電磁波問題を追い続けてきたジャ−ナリストが、誰も書かなかった真実を告発する渾身のルポ。(本表紙より)

<この本の読み所>
 この本の最大の読み所は第四章「空白の25年、日本初の疫学調査の光と陰」です。文科省は、2002年に発表された兜研究の中間報告を「オ−ルC」という最低評価をつけました。ところが、この評価を主導したのは評価委員でなく、田中平三という文部官僚であったことを、本書は曝露しています。さすがに、このあたりの描写は著者が現役記者であることを現しており、サスペンス小説以上にスリリングです。当会では、この「オ−ルC」評価は政治的・意図的であって、疫学調査つぶしであると指摘してきましたが、本書は事実でもって文部科学省の悪行を“告発”しています。
 この他にも「屋内配線の恐怖」や「疫学調査に対する欧米と日本の違い」などは秀逸です。ぜひご一読ください。


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