東京急行電鉄(株)の誤り

すずかけ台変電所建設問題を弁護士が指摘

□第3回講演・報告会
 2008年5月18日(日)、東京急行電鉄(株)すずかけ台変電所問題第3回講演会・報告会が開かれた。メインの講演は、大塚和成弁護士の「コ−ポレ−ト・ガバナンス及び内部統制制度との関係」。内容は、東急電鉄が変電所建設において、いかに愚かな態度をとっているかという話である。コ−ポレ−ト・ガバナンスとは「企業統治」を意味し、経営者は常に企業価値を最大化する責任を負って企業経営するということだ。この場合の企業価値とは株主に対しても、従業員に対しても、地域や社会に対しても責 任を負うということである。「内部統制制度」とは、会社の責任遂行が口先だけでなく、実際に機能しているかをきちんと監視し保障していく制度のことである。

□東京急行電鉄(株)は社会的責任を公言している
 東京急行電鉄(株)は『東急グル−プコンプライアンス指針』で「お客さまとのコミュニケ−ションを重視し、誠実に情報を提供することはもちろん、お客さまの声を業務運営の改善に活用します」「他者の財産や権利を最大限尊重し、公正さと優しさの観点から最適な経営資源の調達を行ないます」「よき企業市民として、地域社会との協調・連携をはかるとともに、社会貢献活動を継続的に実施します」「あらゆる場面で、法規範・社内規律を遵守し、社会的良識に従った適正な行動をとるとともに、責任をもって誠実に業務を遂行します」と宣言している。
 ところが、すずかけ台駅変電所建設では、「地域のル−ルは無視」「情報は隠す」「(地域への説明については)法的な説明義務はないと主張する」と、反社会的行為を行なっている。これでは、東京急行電鉄(株)のブランド価値を高めるどころか、毀損するのは明らかである。

□監査役は取締役に是正を求める義務がある
 コンプライアンスとは、法令遵守といった狭い意味合いで無く、会社行動規範や会社行動指針、あるいは社会の規範を含めた、広い意味での社会的責任の遂行を求めたものだ。
 東京急行電鉄(株)の取締役会は、コンプライアンスに違反してはならないし、もし違反していたら、監査役は取締役会に対して是正を求める法律的な義務がある。

□企業の社会的責任は大事
 コンプライアンスや社会的責任が声高に言われるようになったのは、雪印事件が顕著なように、工場内の杜撰な管理体制が原因で食中毒事件が発生すれば、それは単に工場長や現場責任者のみの責任でなく、会社のブランド価値を下げ、ひいては会社が存続の危機にまで発展するおそれも出てくるからだ。会社はただ利益追求だけすればいいのでなく、企業市民として、その社会的責任を負わねばならない時代なのである。

□すずかけ台問題は東京急行電鉄(株)の試金石
 この問題で東京急行電鉄(株)の判断が誤れば、取締役会や監査役にとって大きな責任が生じるであろう。東京急行電鉄(株)は、自らが引き起こした事態の重大性を正しく認識して、コンプライアンスに反することなく、適切な対応を早期になすべき状況にあるといえる。この東京急行電鉄(株)すずかけ台変電所問題は一地域の問題でなく、電磁波問題を含む、日本の市民運動に大きな転機をもたらす様相を帯びつつある。その重大性をも鑑み、現地における対策協議会の建設見直しの取り組みに対し、当会は今後も最大限の支援を行っていくつもりである。


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