電磁界情報センタ−の問題点について

電磁波問題市民研究会
事務局長・大久保貞利

(財)電気安全環境研究所・電磁界情報センタ−は、リスクコミュニケ−ションの増進を目的とした、公平・中立的な常設の機関であるという。そして、設立した契機としては、経済産業省の電力設備電磁界対策ワ−キンググル−プの報告書とその中の提言をあげている。  しかし、ここで留意しなければならないのは、電力設備電磁界対策ワ−キンググル−プが設置された契機である、WHO(世界保健機関)の環境保健基準(クライテリア)との整合性において、この電磁界情報センタ−の役割や位置付けが、妥当かどうかを判断することが大切である。
 クライテリアでは、リスク認知と(リスク)コミュニケ−ションの項で、「公衆の信用と信頼を確立するためには、利害関係者が適切な時期に意思決定に関与する必要がある。ELF利害関係者には、政府機関、科学界および医学界、権利擁護団体、消費者保護団体、環境保護組織、その他の影響を受ける専門家(開発業者や不動産業者等)、および産業界(電気事業者や機器製造業者)がある。このような論点について、必ずしもコンセンサスが得られるわけではないが、透明性のある証拠に基づいた、批判的な精査に耐えることができる姿勢をとるべきである」と述べている。
 ところが、電磁界情報センタ−のメンバーとしては、電気事業者の出向者はいるが、その他のメンバー、特に権利擁護団体や環境保護組織からは、完全にシャットアウトしているので、リスクコミュニケ−ションの実践にふさわしい組織といえるであろうか。


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