東京都文京区の巨大NTTビル問題

下町情緒あふれる、文京区千駄木3丁目のNTT駒込スポ−ツセンタ−体育館跡地に、NTTが「巨大無人コンピュ−タビル」を建てる説明会を、2008年2月28日に行なってから始まった、住民たちの取り組みを報告します。『巨大NTTビル建設に反対する会』から送られてきた資料をもとに、電磁波問題市民研究会がまとめました。
□誠意のない説明が住民を怒らせた
 東京メトロ千代田線千駄木駅から至近距離の建設予定地で、NTTは地上8階、地下1階のビルを建てると説明しました。ところが、そのビルは高さが49メ−トルもあるのです。住民の一人が言いました。「これって、マンションでいえば16階建てになりますよね」。さらに、サ−バ−(コンピュ−タ)が設置されると説明しましたが、何台のサ−バ−がどのような配置で設置されるのかといった、肝心なことは一切説明しないのに、電磁波は一切出ないと説明をします。こういう不誠実な態度に終始したことが、住民たちを怒らせたのです。

□たった2回で説明打切り
 NTTは2008年2月28日と同年3月20日の2回のみで説明会を打切り、NTTの工事依頼先である大成建設に、強引に工事説明会を行なわせようとしました。この工事説明会は、建設計画の説明不足のため実施されませんでした。
 その後は、同年6月から10月頃まで月1回程度で説明会を行なわせました。しかし、電磁波の健康被害や地層軟弱問題や風害など、住民たちが懸念している問題について、すべて問題なしと説明するだけでした。さらに、再度、大成建設が同年9月と10月に開いた工事説明会では、建設主のNTTが出席しないという無責任ぶり。これに怒った住民側は、再度建築計画説明会を要求しました。

□人数制限を言い出す
 ところがNTTは、各問題毎に説明会を開くからと、人数制限を言い出しました。住民を分断するねらいであることは確実でした。しかし、この問題別説明会も電磁波と地層の2分野をそれぞれ1回づつ行なっただけであり、中途半端に終わりました。

□NTTから説明会一時中断のチラシ
 2008年11月後半に、NTTから「建築計画説明会、工事説明会の一時中断、工事も延期する」旨のチラシが突然配布されましたが、2009年に1月から4月頃まで、関係する近隣住民には連絡せずに、区会議員や町会会長と接触を始めて、仲介役を依頼しようとしたのですが、これも頓挫しました。
 そうこうするうち、2009年5月19日、住民側の中心メンバ−に電話連絡が入り、代表と話をしたいと申し込んできましたので、同年5月26日にNTTと会うと、東京都に斡旋をしてほしいと依頼してきました。東京都を仲介役に住民との紛争を終了させたいというのです。反対する会は即答を避け、会員と相談して結果、ほぼ全員が、東京都に審査請求しても結果は業者寄りになるおそれが強いと判断し、NTTの依頼を断る方向でしたが、それにもかかわらず、住民側は敢えて東京都に審査請求を進めました。NTT側に問題があるなら審査請求する方法もあると、アドバイスがあったからですが、予想どおり、住民の負けとなりました。東京都はNTTの主張を簡単な裏付けだけで判断し、問題なしと結論を出したのでしょう。あとでわかったことですが、東京都の審査請求は、ほとんどが住民の負けでした。

□NTTが「譲歩案」
 2009年8月18日に、あらためてNTTと会いました。そこでのやりとりです。

NTT「譲歩案を考えています。高さを10m下げ、町会もお神輿が置ける空地を設け、外観は環境にあった色を考えています。」
会  「図面等を出していただけますか」
NTT「はい、図面等をお出しします。住民の皆さんに説明してください。」
会  「NTTさんの譲歩案を私たちが代わりに住民に説明しろ、と言うことですか?」
NTT「はい、そうです。」
会  「そんな事出来るわけないでしょ。NTTさんの考えだから、NTTさんが説明するのが常識であり、当たり前の話でしょ。」
NTT「私たちは一切説明会はいたしません。お願いいたします。」
会  「何を考えているのですか?」

 こんな感じです。約束は守らない、質問しても「社に戻って返事いたします」と即答しません。相手には即答しないくせに返事はすぐに求める、態度は横柄なところがある、ウソもつく、まるで子供です。2009年9月8日にNTTと会いましたが、相変わらず住民への説明会は開かず個別に配布し「9月末から“入り口部分”の工事に入る予定」と言ってきました。いよいよ状況は厳しくなってきました。住民たちは建てさせないとは言ってません。誠意を持って建築計画をきちんと説明しなさいと言っているのです。


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