<海外情報>

ポストメディア・ニュ−ス
2010年8月28日

カナダで学校の無線LAN論争

□英国の軍事専門家の意見が影響
 カナダのオンタリオ州で、学校への無線ネットワ−ク(Wi-Fi=無線LAN)の安全性を巡って論争が始まっている。
 きっかけは、英国の科学者で元英国海軍兵器専門家が「若い人が低レベルのマイクロ波を長時間曝露すると遺伝子障害を起こす可能性がある」と警告したからだ。
 英国の軍事専門家の名はバリ−・トゥロ−ワ−氏。同氏は、冷戦時におけるマイクロ波ステルス戦争(見えない戦争)のスペシャリストであった。同氏は、近いうちにトロント大学で、公立学校への Wi-Fi システムは安全かをテ−マに講演する。
 カナダ保健省 (Health Canada) は無線LANは安全だと言っているが、同氏は「長期間の曝露が絶対に有害でないとする科学的文献は一つもない」と語っている。

□マイクロ波は遺伝子に影響する
 トゥロ−ワ−氏は「マイクロ波は遺伝子レベルに影響するので、カナダの次世代の健康を脅かす」と警告している。
 同氏は『ポストメディアニュ−ス』のインタビュ−で次のように語った。
「学校のWi−Fiで使われる出力や周波数は冷戦時の兵器とまったく同じ出力と周波数である。だから私は退役し、気ままに世界を旅行していたのを止め、マイクロ波がどのように将来に影響を与えるか正確に伝えようと決心したのである。」
 同氏は英国のダ−トムア大学で教えており、物理学の学位を持っている。同氏はつぎのようにも語っている。
「子どもは小さな大人ではない。子どもは発達途上の大人なのである。だから大人と子どもでは症状の出方が異なる。Wi−Fiで使われる低レベルのマイクロ波は女子の卵巣にダメ−ジを与える。そのため、奇形児を産むおそれがある。そして、後世代にまで影響を与え、カナダの未来にリスクをもたらす。」

□賛否両論が渦巻く
 カナダ保健省 (Health Canada) スポ−クスマンのステファン・シャンクは次のように説明している。
「世界中の研究をレビュ−しても、無線LANは安全だとされている。その曝露量は、悪影響をもたらすとされる閾値より、はるかに低いレベルである。」
 この説明に対し、トゥロ−ワ−氏は以下のように反論した。
「そうであるならば、親たちは、Wi−Fiで起こる健康ダメ−ジから守ることを法的に完全に保障するということを、学校から文書でとるべきだ。その文書が出せないとしたら、その理由を私は当局に聞きたい。」
 トロント市に近い、シムコ−郡の学校管理委員会のメンバ−である、ロドニ−・パルマ−氏は以下のように語った。
「無線LANはいわばある種の殺虫剤に似ている。どんなレベルでも安全だと言っておきながら、後になって健康に影響があるとする研究結果が出たら制限する。」
 さらに、トレント大学健康研究センタ−のマグダ・ハ−バス教授が次のように語った。
「マイクロ波、特に基地局のマイクロ波はがん、心臓疾患、睡眠障害、皮膚疾患、一時的記憶喪失、などと関係する。」


会報第66号インデックスページに戻る