<読者からの声>

◎電磁波を防ぐ建材はどんなものがあるか
 近くに携帯電話中継基地局と送電線がある。なにか対策をとりたいが、どんな建材をつかえば防御に有効か。そういうものがあるのかということと、いくらぐらいかかるのか教えてください。
 電磁波を防ぐ材質としてアモルファス合金等の材質があり、電磁波暗室(電磁波をシャットアウトした部屋)や宇宙船など特殊な目的に使われていると聞きますが、一般住宅には高価なため実用的ではありません。
 それと、電磁波には低周波と高周波のように周波数によって性質が異なります。とくに家庭電器製品や送電線で使われる50ヘルツや60ヘルツの極低周波電磁波の磁場はコンクリ−トも突き抜けるため対策は容易ではありません。また極低周波は一般的に出そうとして放射するのでなく「漏洩」してしまうものです。一方。携帯電話本体や中継基地局から出る高周波(マイクロ波・ラジオ波)は「照射」というか「放射」というか意図的に周辺に向かって出すものであり、基本的に遮蔽すると機能そのものが効力を失ってしまいます。
 それらを総合した上で言えば、低周波磁場は防ぐことが困難で、低周波電場と高周波は防ぐ方法がありますが、高周波は乱反射する性質のものなので完璧に防ごうとすれば全部を覆うことになり、その機能を停止することになります。また鉄や鉛で例えば部屋を囲んだ場合、人間にとって大事な電磁波(例えば自然界に存在する地球磁場)までシャットアウトしてしまうためそこから起こるマイナス面も考慮しなければなりません。
 ですから、電磁波対策は「距離を離す」(ただし携帯電話中継基地局はやや違う要素がありますが)、「被曝時間を減らす」ことが基本なのです。とくに寝ている本人の頭部から電気器具や配線(コ−ド)を最低でも1メ−トル離すことは今日からでもできる対策です。

◎VDTの説明とどんな電磁波が出るのか
 VDTという言葉がこの会報に出てきますが、いまひとつわからないので説明してください。それとVDTからはどんな電磁波が出るのですか?よく言われるマイクロ波だけですか?
 VDTは「ヴィ−・ディ−・ティ−」と発音し(アルファベットのまま)、「Visual Display Terminal」(視覚で見せる端末機)の頭文字からとった言葉です。つまり画面表示機能(ブラウン管にせよ液晶にせよ)をもったコンピュ−タ機器の総称です。具体的には大型汎用コンピュ−タの端末機(銀行やJR緑の窓口にあるコンピュ−タオフコン)・パソコン・ワ−プロなどです。VDTは「電磁波のデパ−ト」と言われるようにそこから様々な種類の電磁波が出ています。具体的には、極低周波・低周波・マイクロ波・ラジオ波・赤外線・紫外線X線・静電気などです。
 しかもVDT操作は至近距離で行うため、人体への影響は少なくありません。当会の事務局長は1980年代半ばに労働組合全国組織・総評(当時=現連合)が行った「VDT健康調査」(世界最大規模のアンケ−ト調査・対象1万5千人)の実施側メンバ−の一人でした。当時でもVDTによる健康破壊は相当進んでいました。現在はもっと健康影響が出ていると思いますが、労働組合が取り組まないため「個人の問題」にすりかえられてしまっています。ただVDTからの電磁波漏洩防御技術もすすんでいるのも事実です。しかしVDTの健康影響はなくなりません。


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