[注:個人名関連は「*」であらわす]


小田原市市議会議長 二見健一様

平成12年9月1日

人体への安全性が証明されていない電磁波の恒常的発信源である携帯電話およびPHSの無線基地局を設置する際、事前に近隣住民に通知し了承を得るよう電話会社と設置契約者(地主)に指導を求める陳情書

********* 小田原市**********
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趣旨
 携帯電話およびPHSの普及にともない、多数の無線基地局(アンテナ)が設置されているが、基地局には社名の記載すら無いものが多く、何故か、基地局の場所についての問い合わせに応じないことにしている電話会社さえある。電話会社から地代を受取る設置契約者以外の大多数の一般の人々は、身近にある基地局の存在を知らずに電磁波を浴びせられている。
 基地局は、短いサイクルで電磁場を変動させながら体内を貫通するマイクロ波を常時発信し、さらに脳波に近い極低周波に変調されたパルスが周期的に出る仕組みになっている。微弱ながらも長期継続的に浴びた場合の身体的影響として、成長・免疫・生殖・回復を掌るホルモンであるメラトニンの低下やカルシウムイオンの流出、精神不安定、記憶力や思考力の低下、発ガンなどが指摘されている。無害性が確立されていないゆえに慎重に回避することを勧める内外の医学・理学・工学の専門家もいる。
 健康被害の懸念を気にせず利便を優先する人もいる一方で、電磁波の影響を心配に思う人もいて、効果が無いものが多いにもかかわらず電磁波防護用品の売上が伸びている。基地局設置反対運動は国内および世界各地で起きており、携帯電話の使用者であっても自宅近くには基地局を立ててほしくないと思う人もいる。
 最近、ペースメーカーを装着した人が身体への影響を脅かされずに電車に乗る権利を保証するために、JR東日本をはじめ多くの公共交通機関が乗客に携帯電話の電源を混雑時あるいは常時切るよう求めるようになった。電磁波過敏症という言葉も最近マスコミに取り上げられているが、基地局の隣地に住んでいた陳情者自身も然りで、契約者に頼んで基地局を撤去してもらったところ、それまで自覚していた慢性疲労感や頭の縛れ感が消えた。
 電話会社が安全性の拠所としている電波防護指針は無害性を保証する根拠を持つ規準ではない。科学技術庁は電磁波環境と小児ガンとの関係を探る疫学調査を昨年から開始し、WHOの後押しで郵政省が今年9月から脳腫瘍との関係の疫学調査に乗り出す。
 基地局の設置場所について国の規制はまだ存在しないが、憲法にある「健康な生活を営む権利」および「知る権利」を不当に侵害されてはならない。基地局の安全性が確立されていない限り、電波を受ける周辺住民の了解なしに基地局が設置されるのは不当なことで、設置の可否については近隣の意志も尊重されるべきである。しかし、最大手のN社は「契約者以外の第三者からの撤去要請には応じないことにしている。」との主張を固持している。設置契約者が撤去を決意してくれない場合は、近隣住民は身体が不調であっても我慢を強いられるしかない。コンクリートの建物であれば電波の強度はかなり和らぐが、木造家屋で窓から基地局が見える場合は、電波をほぼ直撃で浴び続けることになり、身体の変調が出やすくなる。
 さらに、基地局はその電話会社の携帯電話を持つ人の用益にしかならず、公衆電話のような万人のための公共性は無い。携帯電話を持たない人にとって、営利目的の基地局の電磁波は不用なものである。
携帯電話使用者は自身の意志で電磁波の被曝時間を決められる。学者などの頭脳労働者のなかには携帯電話で長電話をしないようにしている人もいる。しかし、基地局周辺住民は自身の意志とは無関係に常に電磁波被曝を強いられる。

項目
  市は、携帯電話およびPHSの基地局の設置にあたって電話会社は近隣住民に通知し了承を得るよう指導する。既設のものについては、近隣住民から撤去の要望があった場合、電話会社と設置契約者、住民とで納得のいく話し合いをするよう指導する。

以上
 
 
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