<NTTドコモ基地局を中止させた経緯>


東京都葛飾区の東立石地区は京成電鉄押上線と中川に囲まれた地域です。東京の下町の雰囲気を残し小売商店街がいまでもけっこうがんばっている地域です。
この地区のビルの屋上にドコモが基地局を建設しようとしたことに地元の住民が反対し、計画を中止させました。会員から経緯の報告と地図、写真を送っていただいたので紹介します。

 (東立石の)Aビルは、街道沿いとはいえ片側一車線道路の商店街に面し、各商店の上には、それぞれ商店主が住み、その後ろには一般の住宅が並ぶ、いわば下町の商店街、および住宅街の中にある。
 ビルは鉄骨であり、土地面積40〜50坪程度の5階建てである。
 Aビルは賃貸マンションであり、NTTドコモはAビルオ−ナ−A氏と契約を結んだのである。A氏には契約の際、「基地局は電磁波は出るが、コタツ程度のものである」と説明していたらしい。

<約1年の経緯>

平成13年7月9日(月)
 ビルの両隣・後ろの住宅に工事業者より突然「明日より工事を始める」と挨拶あり。『ゴミ・騒音に気をつける』のチラシ持参。
「基地局とは何ですか」の問いに「高さ50cm程のコタツ位の大きさである」と説明していた。

平成13年7月10日(火)
 近隣のB氏が一軒だけで改めて説明を要請。初めて大きなアンテナである事が判明。住民1人に対し、ドコモ側4人。
(持参資料:総務省・電波産業発行のパンフレット)

平成13年7月12日(木)
 B氏が更に説明を要請。ここで『お中元』といってビ−ル券を渡そうとしたが、それを拒否。話し合いは2時間続いたが、決裂。
(持参資料:ドコモの基本姿勢)

平成13年7月16日(月)
 約3日間近隣住民に呼びかけ続け、近所の保育園を借りて第1回住民説明会。40〜50人参加。配られた『ドコモ基本姿勢』のパンフレットを見ながら「事前に住民への説明が全くないのでは?」の問いに、「我々のパンフの印刷ミス」とまで言い切った。交渉は決裂。

平成13年8月29日(水)
 第2回説明会。葛飾区地区センタ−にて。事前に出した陳情書により、区役所職員が仲介人となった。交渉は完全に決裂。
 住民50〜60人参加。ドコモ側5人。

9月、10月、11月と約3ヵ月に渡り、様々な『反対』のチラシ・ポスタ−・署名などの活動を行なった。

平成13年12月8日(土)
 東立石Aビル現場にて、ドコモ側が強引に模擬テストによる電磁波測定を予定。現場に現われたドコモ側は住民の猛反対により、測定出来ずに終わる。怒鳴り合いとなる。

平成14年6月末
 代表住民宅にドコモ代表1名が突然来宅し、計画中止の旨を伝える。

<写真1>建設予定地を中心とした2km四方の地図
<写真2>建設予定地を中心とした500m四方の地図
<写真3>建設予定地を中心とした200m四方の地図
<写真4>建設予定地の外観

<電磁波問題市民研究会からのコメント>
「基地局は高さ50cm程のコタツ位の大きさ」とか「基地局の電磁波は出るがコタツ程度のもの」と、住民を小馬鹿にした説明を平気でするドコモの体質は、東京のドコモも変わりないようです。極低周波と高周波をごちゃ混ぜに説明し、住民を“安心させ”、とにかく基地局を建設してしまえというのでしょう。


寄稿一覧に戻る