スマートメーター院内集会 東京電力パワーグリッド株式会社との話し合い(要旨)

 
東電Eさん(以下「東電」) 私は、東京電力パワーグリッド株式会社スマートメーター推進室のEと申します。企画グループのマネージャーをしております。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
 東電Fさん スマートメーター推進室スマートメーターオペレーションセンターのFと申します。私は運用第一グループのマネージャーをしております。今日はよろしくお願いします。
 東電Gさん 東京電力パワーグリッド株式会社総務・広報グループ(広報チームリーダー)Gと申します。よろしくお願いいたします。
 大久保 マネージャーっていうのは課長級という考えでよろしいですか?
 東電 はい、ヒラの課長ということでご理解いただければと思います。
 大久保 最初に、こちらが事前に出しましたご回答からお願いします。
 東電 承知しました。(編注:同社は集会前日に書面で回答を提出(この下に掲載)したので、それを読み上げた。ただし、書かれていない内容として同社は、3のスマートメーターを拒否した件数については「全体の拒否のされたケースは、こちらにつきましては集計してございませんので、全数の把握といったところをしてございません」と述べた)。
 

 網代 ありがとうございいます。まず1と2についてはセキュリティを盾にお答えしていただけなかったです。従来とと同じ回答です。この程度の情報を公開しただけでセキュリティに問題が生じるのであれば、逆に「大丈夫かな」と心配です。海外の電力会社は公開しているので、ぜひもっと前向きに公開してほしいと思いますが、今日は他のところに時間を使いたいので、この点については私は回答は要りません。
 3ですが、顧客の拒否にかかわらずスマートメーター通信機能付きを設置したのが今までゼロというのは、たいへん、びっくりしました。私どものところには、月に何十件もスマートメーターの交換を拒否したいのだけれども聞く耳を持たないという相談が入ってきます。ただ、拒否にも関わらず設置したことがない、設置してしまったケースは一部工事会社が誤って設置したということでしたら、誤ったほうの責任なわけだから、顧客から要望があったら当然アナログメーターに戻すということを、この場で約束してほしいと思います。
 5ですが、消費者に強制する法律が、あるかないかで、もう一度お答えください。
 6ですが「従来型計器の製造が終了となり」と書いてありますが、私どもが承知している範囲では従来型計器を製造しているメーカーはございます。また「新規に調達することは困難であるため」と、メーターのメーカーに責任転嫁する書き方をしていますけれども、東電が発注すれば作るはずです。それがビジネスというものじゃないですか。だから、アナログメーターを新規に調達することが仮に本当に困難だとすれば、ぜひ困難じゃない状況を作ってください。メーカーに対して、これまでと同じように調達をして、アナログメーターを望む需要家に対しては責任を持って設置できるようにしてください。
 東電 誤って工事会社が設置をしたケースにつきまして元に戻すようにというご要望、ご質問と承りました。この「誤って」がどういうケースかと申しますと、私どもメーターの交換にあたりましては、事前にビラ等々で周知をさせていただき、お客様にその工事の内容、スマートメーターに交換をするということをご説明をしたうえで取り替えるというところが原則でございます。そこのお客様へのご説明がしっかりと出来ないまま工事会社が取り替えをするというケースが、この誤ったケースになります。このことに関しては、しっかりと再発防止をしてまいりたいと考えてございますし、工事会社への教育等々も行っているところでございます。しかしながら、先ほど申し上げた通り、スマートメーターの設置ということに関しては、国の政策、基本方針といったところ、そして、このスマートメーターを設置することによって、いわゆる効果、国民の皆さんへの還元といったところが非常に大きいものだと理解をしてございますので、私どもとしては引き続き、スマートメーターの設置を進めてまいりたいと思いますし、設置の拒否をされる皆様方にも、説明の努力を続けてまいりたいと考えているところでございます。
 それから、5の強制する法律はあるかないかというところでございますが、私ども、このスマートメーターの設置は法律に基づいて行っているところではございません。繰り返しになりますが、国の基本方針に沿ってスマートメーター、この効果をしっかりと国民の皆様に還元をするというところを目指してスマートメーターの設置を進めてございますので、法律云々ということではなく、国の基本方針、そしてそれを受けて私どもとして、しっかりと設置を続けていきたいというところでございます。
 それから、メーカー側の終了に関するご質問、ご要望というところでございます。まず、メーカーへ責任転嫁をしているのではないかというご指摘をいただきました。私どものご回答がそういった形で受け取られたというところであれば、表現が足らなかったところがあろうかと思います。この点については、おわび申し上げたいと思いますが、決してそういった意図ではございません。発注を確保すれば良いではないかというご意見をいただいておりますけれども、こちらも繰り返しになりますけれども、スマートメータ-の設置をしっかりと進めていきたいというのが、当社としての方針でございます。

「強制しているつもりはない」
 大久保 強制する法律はないとあなた方は認めたということだから、基づく法律がなければ、強制してはいかんのですよ。あなたたちの方針は分かりますよ。そのことと、健康上を含めて、どうしても嫌だという人たち、そこを埋めるのには強制する法律がなければだめなんですよ。
 東電 私ども決して強制を皆様に強いているというつもりはございません。このスマートメーターの状況をですね、ご説明を尽くして、設置をさせていただくというのが私どもの…。
 会場 説明なんかなかったですよ。勝手に現場の人間がやってきて、うちのメーターを換えていったんです、スマートメーターに。何の通告もなかったですよ。ビラ1枚入っていませんでした。私は電磁波過敏症なので、今すぐアナログメーターに換えてください。
 大久保 前回、東電さんのHさんとお会いした時に、彼はチラシ等は約1週間前にはお客様にお配りします、と言ったんですよ。ところが今彼女が言ったように、チラシも配らない、あるいは配ってすぐやるとか、前回、私たちと約束したことすら守っていないんですよ。この実態は把握しておりますか。
 東電 個々の事例の中でチラシの配布が直前になった、あるいはチラシの配布が十分に行われなかった事例があるというのは聞き及んでございまして、こういったことは私どもとしても決してあってはならないということでございます。
 大久保 では「理解を求める」以上は、今言ったようなチラシをまかないとか、すぐにやっちゃうということはおかしいという回答があったと理解しますんですね。
 東電 その通りでございます。
 大久保 スマートメーター推進室のマネージャーが言ったことだから重いと理解します。
 会場 いくら丁寧に説明していただいても、反応する人は生死に関わる問題なんです。家に入れないとか。さっき被害者の方が何例も報告されましたが、切実な声をお聞きになってれば、今の答えは言えなかったと思うんです。皆さん自身が電磁波過敏症だったら、まったく違うこと言って、こっちに座っていたかもしれないんですよね。
 会場 私は電車の中でスマートフォンなどを操作している方がそばにいると、片方の耳が耳鳴りをするのでいつも優先席に座っているんです。おそらく私の自宅のメーターがスマートメーターに換わりますと、これ以上にひどくなるかなあと予測しています。東京電力の方がお客様に「ご丁寧にご理解をいただく説明をする」とおっしゃっているんですが、具体的にはどのような説明をされるのですか。私、個人的には個人情報の漏洩という問題が非常に心配なんですが。
 東電 お客様へのご説明というところでございますが、電磁波過敏症等々の健康被害のご懸念を表明されたケースにつきましては、私ども、スマートメーターがしっかりと国の基準に則った形で仕様を決め、そして設置をしているというところ、具体的には、電波による健康被害に関しましては、国の基準として電波防護指針をスマートメーターにはしっかりとクリアをしているというところを、机上の計算、あるいは実測の中で確認をしてございますので、健康被害の恐れはないというところでご説明をさせていただいております。
 会場 国の基準とかおっしゃっていますけれど、その基準をクリアしても健康状態が良くないと訴えている方が事実、大勢いらっしゃるんですよ。丁寧に説明して導入すると言っていますけど、強制ではないんであれば多様的に多面的に対応できないんですか。そちらが説明するように、健康被害にあっている方の気持ちも聞いて、お互いにそういうことで多面的に対応できないんですか。一本でやらなければいけないことなんですか。

通信部を外すという「暫定的配慮」
 東電 私どもとしても健康被害を訴えていらっしゃる方が複数いらっしゃるというところを当然認識をしてございます。繰り返し申し上げております通り(編注:「スマートメーターは安全であることを説明する」との主旨の繰り返し)それでもなお健康のご不安を訴える方が複数、少なからずいらっしゃるということも事実でございますので、私どもとして出来る配慮としまして、暫定的な措置ではございますが、通信を行う、通信部と言っておりますが、これを外すという対応を例外的にとらせていただいているというところ。これは健康不安を抱えていらっしゃる方々への不安への配慮というところで、私どもやらせていただいている対応でございます。ご理解をいただければと思います。
 大久保 通信部を外す場合に、我々が懸念しているのは、一つは、1カ月に1回機械で30分ごとのデータを持っていきますよね。プライバシーの問題は解決しないんです。もう一つの問題は、健康を考えて取り外しますというのはいいんだけど「今後ずっと付けないと約束して」と言うと、約束しないんですよ。これでどうしてあなた方信用できますか、我々は。
 東電 プライバシーの問題ですが、私どもとしても重要な30分ごとの電力使用量のデータでございますので、このセキュリティについては万全を期して対応をしてございます。
 2点目のご質問は何でしょうか。
 会場 永久に外してくれるのか。
 東電 はい。暫定的な対応というところでさせていただいております。私どもの基本的な考え方は国の基準をしっかりとクリアをするということで健康上の害はないと考えてございますので、ここをしっかりとご説明をしてまいりたいと考えているところでございます。
 大久保 あなたはセキュリティがあるから万全を期すと言うんだけど、世の中でマイナンバーを含めて情報が漏洩することをいっぱい我々は知っているんですよ。いっぱい集めれば必ず漏れるというのが常識なんですよ。東電は信用できない、原発事故でもウソをついた、こんな会社を信用できないという人がダメだと言っているわけだ。健康のことを考えるなら、通信部を外すのをずっと外すのなら話し合ってもいいんですよ。でも約束しないでしょう。
 東電 私ども東京電力グループに対しての皆様のご不信といったところも重々承知してございます。私どもとしては漏洩事故が起きないようにしっかりと対応することでまた信頼をいただけるように努めてまいりたいと考えてございます。
 会場 繰り返しになってしまうんですけど、電磁波過敏症の訴えの事例があるということは認識されていて、それに対する対応が丁寧な説明をしていく、健康被害ないものと考えていらっしゃるというお話でしたけど、丁寧な説明をされたところで電磁波過敏症が改善されるわけではないですし、その状況がその後も継続されていくわけなんですね。それに対して御社がただ説明するというだけでは何の解決にもならないと思います。それと電波防護指針に基づいて行っている、国の基準か何かだと思うんですけど、原発も国の基準に基づいて行われていたはずだと思うんですね。スマートメーターよりもよっぽど厳重な基準があったはずだろうに、おかしなことになって。今の知見で、電磁波過敏症についてよく分からないとしても、将来的にそうなった時にどういう対応をされるのか、どういう補償があるのかもお聞きしたい。
 東電 説明になっていないというところのご指摘、たいへん重く受け止めてございますが、私どもとしましては繰り返しになってしまいますが(編注:「国の基準に則る」との主旨の繰り返し)。
 会場 アナログメーターに戻してください。外したアナログメーターがあるでしょう。捨てたんですか。30年使えるはず。
 東電 アナログメーターを再利用するようにというご質問と承りました。こちらにつきましても再三申し上げてます通り、たいへん申し訳ございませんが(編注:「国の方針に沿って」との主旨の繰り返し)。
 会場 私、地方から来ました。私は電磁波過敏症ではありませんでした。スマートメーターに疑問を感じて、うちはアナログで通しました。一昨年の8、9月ぐらいから周りがスマートメーターに換わりました。私は耳鳴り起きています。3日前の耳鳴りは眠るのが大変で、それで12時ごろ寝たんですけども、3時半ぐらいに目が覚めちゃった時もやっぱり耳鳴りがありました。すごく不安になります。どうすれば良いんですか。真剣に考えてくださいよ。

過敏症「しっかり受け止めたい」
 東電 今お話をいただいた通り、電磁波過敏症、その他、健康被害を実際に受けていらっしゃる、発症されてご苦労をされているというお話は私どももちょうだいいたしておりますし、それをしっかりと受け止めてまいりたい、今後についてもしっかりと受け止めてまいりたいと考えているところでございます。しかしながら、繰り返しになりますが、私どもとしては、国の安全基準に則って…。
 網代 先ほど来、強制している認識はないとおっしゃったり、回答書でも強制したのはゼロだと言っていますが、スマートメーターが嫌だと断っても「アナログメーターはありません」だったら、これは強制以外の何物でもないわけですよ。国の方針とおっしゃっていますけど、国は強制しろとは言っていませんよね。
 東電 こちらもまた繰り返しになってしまいますが、私どもとしては強制をしているという認識ではございませんで、しっかりとご説明させてまいりたいと考えているところでございます。
 大久保 時間なので締めますが、強制力はないということを確認しました。あくまでもあなた方はユーザーに対して説得して理解を求めるしかないということです。在庫がないことに関しては、作っているとメーカーがハッキリ言っているんだから。それをあなたは、調達していない、取引していない、と。それは取引すればいいだけの話ですよ。そういう実態を踏まえて、やはり強制をしない、企業と市民がぶつがるのは不幸でしょう。今日はこれ以上言っても壊れたテープレコーダーみたいに同じこと言うから、持ち帰ってください、真剣に。【まとめ・網代太郎】

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