スマートメーター火災 大手メディアが初報道 炎を上げて燃えたスマートメーターも

 電磁波研会報でたびたび取り上げてきた、スマートメーター火災が相次いで発生している問題について、11月18日付『東京新聞』朝刊が1面トップ記事で取り上げました。大手メディアが報道するのは初めてです。このスクープ記事を、朝日、毎日、日経、産経、共同、NHKなどが後追い報道しました。

11月18日付東京新聞

 東京新聞は11月21日朝刊の「こちら特報部」で見開きで続報を詳しく掲載。さらに、同日の社会面で、中部電力管内でもスマートメーター火災が発生していたことを報じました。
 当会による情報提供に同紙の記者が関心を持ち、取材して記事にしました。実は東京新聞より先に他の大手メディアへも筆者(網代)から情報提供していましたが、なぜか反応がありませんでした。

11月21日付東京新聞

住民に危険を伝えず

 これらの記事によって分かった主な新事実は、次の通りです。

  • 消費者庁などが運営するインターネットの事故情報データバンクシステムに掲載された情報から、スマートメーター火災12件を当会が把握していましたが、記事によると都内16件、埼玉県鴻巣市で1件、中部電力管内で1件起きています。
  • これらのメーターはすべて東光東芝メーターシステムズ製で形式は「S43WS-TA」。2015年4~11月に製造したメーターのコンデンサー部品の不良が原因。
  • 同じ不良が原因で、火災以外にも、異音を発するスマートメーターが200台あった。
  • 東京電力パワーグリッド(東電PG)はこのメーターが不良品だと認め、来年3月までに設置済みのすべてを交換することとし、これまで4割(9600台)を交換した。
  • 残りの6割(14400台)にも火災の可能性があるのに、東電PGはその家の住民らにそのことを伝えていない。
  • 当会が把握していた火災は内部の基盤などが焼けただけだったが、8月22日に発生した鴻巣市の火災は炎が出たので住人がバケツで水をかけて消し止めた。メーターの下半分が燃えて溶け、メーターが付いていた木の板も黒く焦げていた(ただし電気器具に水をかけるのは感電の恐れがあって危険なので粉末消火器を使うべきであり、東電がスマートメーターの不良について広報していれば注意を促しておくこともできたはず、と記事は指摘しています)。
  • 中部電力管内の該当メーターは1600台で、年内に交換工事を終える予定。

 これまで火災を公表せず、危険なメーターが付いている家の住民にも伝えなかったことについて、東電PGの担当者は「スマートメーターのケースは燃えにくい素材を使用しているため、引火したり建物火災に至ることはない。通知をしていなくても大事に至らない」と釈明。これに対して、企業コンプライアンスに詳しい八田進二・青山学院大学名誉教授(職業倫理)は「大したことないと不具合の情報を開示しないのは、作り手側の発想で、利用者の目線に立っていない。企業として危機意識が薄く、鈍感だ」とのコメントを東京新聞に寄せています。【網代太郎】


国も推進 スマートメーター 発火16件、東電公表せず
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 電気使用量をこまめに計測できる次世代型の電力量計として東京電力が各家庭などに設置している「スマートメーター」に不具合が見つかり、二〇一六年九月から一年間に、内部が燃える火災が十六件発生していることが分かった。東電は同型のメーターを同社管内に計二万四千台設置。現在取り換えを進めているが、同社として事故や不良品について公表していない。 (石井紀代美)

 東電は火災の発生日時と場所について公表していないが、本紙が入手した東京消防庁の資料によると、少なくとも十件は一七年一~七月に都内で発生している。

 東電管内の送配電を担うパワーグリッド社(東京都千代田区)などによると、スマートメーターの製造元は複数あり、今回判明した十六件はすべて、東光東芝メーターシステムズ(埼玉県蓮田市)が製造。同社が一五年四~十一月に製造したスマートメーターのコンデンサー部品に不良があり、想定以上の電流が流れたために抵抗部と基板の一部が焼損したとみている。いずれも建物への燃え移りはなかった。

 東電は今年三月にこのメーターが不良品だったと認め、取り換え作業を始めた。現在約四割の九千六百台が終わり、一九年三月末を目標にすべて完了させる予定だという。

 しかし、そもそも製品不良の情報が対象者に伝えられていない。取り換えの直前に文書で通知するのみだった。まだ工事が済んでいない約六割の一万四千四百台にも火災の可能性があるのに伝えられていない。

 自宅のスマートメーターが燃えた都内の女性は本紙の取材に「ものすごく大きなブザー音がメーターから出っぱなしだった。触るとかなり熱かった」と事故当時を振り返った。

 パワーグリッド社広報担当の橋和希氏は「スマートメーターのケースは燃えにくい素材を使用しているため、引火したり建物火災に至ることはない。通知をしていなくても大事に至らない」と説明。東光東芝は「担当者がおらず、コメントできない」としている。

 全国の事故情報をまとめた消費者庁のサイト「事故情報データバンクシステム」によると、スマートメーターの火災は、東電が設置した東光東芝製の十六件のほか、メーカーは不明だが今年八月下旬に埼玉県内で一件、九月上旬に滋賀県内でも一件が起きている。

<スマートメーター> 電力使用量を月ごとに計測する従来のアナログ式に対し、30分ごとに計測する。使用電力の「見える化」を目的に国が設置を推進している。東京電力は2020年度を目標にすべての利用者を対象に約2900万台を設置する計画。計測データが電波で電力会社に送られるため、電磁波過敏症の患者が設置を拒む例もある。消費電力で個人の生活パターンが分かることから、プライバシー侵害を危惧する声もある。

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