電磁波について、あらためて知ろう 第4回

鮎川哲也(電磁波研事務局)

よくあるお問い合わせに関して<その1> 

 今回、全国から寄せられるお問い合わせで、よく聞かれる項目を上げてみました。基本的なことから、少し高度な内容まであります。

電磁波の一般的なことについて

Q.電磁波が影響があると聞いて、何をどうすればいいのでしょうか。

  A.まず、どの電化製品がどんな電磁波を発生させているのかを知ることが電磁波について知る第一歩です。基本的に家電製品からが低周波電磁波。スマートフォン、携帯電話、コードレスフォン、Wi-Fi機器からは高周波電磁波が出ています。電磁波の影響を軽減するには「電磁波発生源をなくす」「発生源の電磁波を弱める」「電磁波発生源から離れる」が3大原則です。身の回りの電化製品で不必要な機器があるかもしれません。電化製品の使い方を見直すと電磁波の影響を小さくできるはずです。

Q.家の外から何かされているような気がします。どうすればよいでしょうか。

 A.誰かが攻撃を目的に電磁波を使って何かをすることは基本的にありえません。攻撃をするためには大きな電源設備や超高度な攻撃装置が必要ですが、そのようなものを使うためには過大な費用がかかるため、ありえないと考えています。何か付け回されていると感じるのは、携帯基地局からの電磁波をはじめあらゆる電磁波が飛び交っているので、それらを感じてしまうからです。とくに携帯基地局から5Gの高周波電磁波はビームフォーミングという基地局から個々のスマートフォンに狙いを定めて電磁波を送るので、さらに狙われていると感じるのだと推測されます。最近のWi-Fi機器は先に示したビームフォーミングの技術を使っているものもあります。狙われていると考える前に、身の回りの電磁波発生源を見直してはいかがでしょう。

身の回りにある電化製品からの電磁波について

Q.家の中の電化製品などで何が電磁波の影響がありますか。

  A.お問い合わせで実に多くあるのが、外からの電磁波が気になるというものですが、実際には家の中にあらゆる電磁波発生源があることです。Wi-Fi機器、コードレスフォン、IH調理器と電磁波発生源が勢ぞろいしていた家もありました。特に注意が必要なのは先にあげたWi-Fi機器、コードレスフォンです。可能であればWi-Fi機器は夜、就寝時には電源を切ることで電磁波の発生をかなり軽減できます。コードレスフォンはコードがあるシンプルな電話にすることで高周波電磁波の発生源をなくせます。よくあるケースが親機と子機がある電話です。親機にコードがあっても子機がコードレスの場合は電磁波が出ていますので、解決にはなりません。

Q.携帯電話やスマートフォンはどう使えば電磁波の影響が少ないのでしょうか。

 A.スマートフォンが生活に深く浸透して、キャッシュレス決済をはじめスマホがなくてはできないこともあります。スマートフォンは便利な機器で電磁波が発生するから使うなと否定しません。その名の通りスマート(賢く)使うことが肝要です。通話をする場合は周囲に音声が聞こえてもよい場合は「ハンズフリー」などで耳に直接当てない方法を取ることです。どうしても通話をする場合はできるだけ短くすることです。若い世代はスマホで通話をほとんどしないようなので、この点はよいのですが、それ以上にスマホを手放せないという別の問題が出ているようです。そこでどこにスマホを置くかについてですが、とくに寝る時は頭の周囲からは離すことが重要です。よくスマホを見ながら「寝落ち」して起きたら顔の近くにあったなどというケースがあるようですが、それはとてもよくないことです。スマホの使い方も「電磁波発生源をなくす」「発生源の電磁波を弱める」「電磁波発生源から離れる」です。

Q.夜、照明をつけると電磁波が強くなるように感じるのですが。

 A.LEDが普及する前に省エネタイプの蛍光灯が広く普及しました。電球型蛍光灯を含むインバータ式蛍光灯です。これは交流電源を高周波に変換して蛍光灯を点灯させるものです。高周波と言っても携帯電話などの高周波よりは低い20~70kHzの周波数の電磁波が発生しています。照明器具なので夜ですし、頭の近くで感じるので電磁波を影響を受けてしまいます。このような照明器具を使っている場合は照明器具の真下に長時間いることは避けるべきです。

携帯基地局について

Q.携帯基地局が近くにあります。どれくらい距離があると影響が少なくなりますか。

 A.直接見える場所に基地局がある場合、基地局からの距離が200~300mほどなら、影響が強いといえます。ただし、電磁波が反射したり、建物の影響で弱くなったりする場合もあります。また基地局の大きさによっても近くのものより遠くの基地局からの影響が強い場合もあります。携帯電話基地局からは高周波電磁波が発生し、直進性が強いので直接見えるか、見えないかで電磁波の影響が変わります。引っ越しなどで基地局のことが気になるなら、まず目視できるかどうかです。2階建て、3階建て、あるいはマンションなどの場合は高い位置からの確認が必要です。

Q.携帯基地局を撤去してほしいのですが、可能ですか。

 A.携帯電話会社に撤去してくださいと申し出ても簡単には撤去してくれないのが事実です。まずは、どんな問題があるかを知り、周囲の人たちと協力して行動することです。逆に携帯電話基地局を撤去したい周囲の人が協力を依頼されたら、同様に何が問題かを共に考えることです。当会に携帯電話会社に連絡して撤去をお願いしてほしいと依頼することもありますが、当会は協力はしますが、当会が主体となって撤去の行動をすることはありません。真剣に考え行動する人には協力を惜しみません。携帯電話基地局の問題を他人事としないことが大事です。

スマートメーターについて

Q.スマートメーターに交換すると言ってきました。どうすればいいのでしょうか。

 A.電力会社はスマートメーターへの交換は当たり前のように言います。みんな変えていますよとか、変えていないのはお宅だけですよとか、最近のケースでは高齢者のお宅でこれはスマートメーターでなく、検診員が測定に来ますからねと言いつつ、じつはスマートメーターに変えられていたという酷いケースもありました。アナログメーターに使用期限が切れていますなどと言う場合もありますが、気にしないでください。交換されたくない場合は断固拒否してください。アナログメーターはそのまま使えます。実際に期限が切れたアナログメーターを使っているケースもありますし、実際に筆者の場合は期限が切れたアナログメーターのままです。電気のメーターが敷地内にある場合は勝手に変えると不法侵入になります。ちなみに不法侵入罪という犯罪があります。参考までに刑法の条文を記します。
 【刑法第130条(住居侵入等)】「正当な理由がないのに、人の住居もしくは人の看守する邸宅、建造物もしくは艦船に侵入し、または要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金に処する。」
 つまり、人が居住している住居に無断で侵入すると「住居侵入罪」が成立する可能性があり、それは屋内に限らず、屋根・庭も住居に含むため、無断での立ち入りは処罰の対象になりえるとのことです。
 一方、関西電力の「電気最終保障供給約款」(2019年10月1日実施)によると、33の項目の「需要場所への立入りによる業務の実施」があり、「当社は,次の業務を実施するため,お客さまの承諾をえてお客さまの土地または建物に立ち入らせていただくことがあります。この場合には,正当な理由がない限り,立ちいることおよび、業務を実施することを承諾していただきます。」とあり、敷地内に入ることを正当化しています(他電力会社も同様の約款あり)。この点は注意して「正当な理由がない」としてください。ただ、そこまでのことをしたり、言ったりするのは余程のことがあるはずです。まずは断固拒否です。

Q.スマートメーターに変えられてしまいました。どうすればいいでしょうか。

 A.もし、無断で敷地に入れた場合は、上記の「住居侵入罪」の可能性がありますが、スマートメーター交換に関するチラシを入れ、異議なき場合は同意したものとして作業を進めますといういい方をする可能性があります。とても悲しいことですが、現時点では現実的にアナログメーターに戻すのは難しいかもしれません。その際は通信部分を外してくれと強く要求してください。この場合も強く主張してください。ただし、アナログメーターへ戻してくださいと主張は続けることです。
 基本的なことでも結構です。当会への質問がございましたら、お問い合わせください。皆さまのご意見が当会の活動の力になります。

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