電磁波&関連ニュース

5G推進企業の優遇税制を廃止へ

 政府、与党が、5Gを推進する企業の法人税を優遇する税制を2024年度末で廃止する見通しであることが分かった。要件が厳しく制度の利用が広がらなかった。所管する経済産業省が年度末に期限を迎えるにあたって廃止を要望しており、年末にかけての25年度税制改正議論で決定する。5Gの優遇税制は基地局や送受信装置など5G関連の設備投資を行った事業者が、投資額の一定額を法人税額から差し引ける制度。携帯電話大手のほか、地域の企業が工場や農場の管理に使うことなどを想定している。政府が国会に提出した報告書によると、20~22年度の利用は計12社。22年度に限ると1社のみだった。経産省によると、5Gを使った先進的なデジタル化の取り組みを要件に設けたことで利用が進まず、23年度以降も利用は低調だったという。(11/8 共同通信

スマホと衛星の直接通信についての技術的条件を総務省に答申

 総務省の情報通信審議会は2024年10月10日、「衛星コンステレーションによる携帯電話向け2GHz帯非静止衛星通信システムの技術的条件」について、総務省に答申をした。KDDIが今年度中、楽天が来年度中に開始を目指している、スマートフォンと通信衛星の直接通信サービス=図=についての技術的条件を定めたもの。スマホと衛星の間では2GHz帯の電波で通信を行い、インターネット網とつなぐ「地球局」と衛星の間では18GHz帯、30GHz帯の電波で通信する。衛星の数は最大7500基、衛星軌道の高度は340kmまたは525km。(10/10 総務省

知床岬の携帯基地局設置計画を凍結

 国や携帯電話事業者などで作る推進会議は2024年10月11日、北海道斜里町で会合を開き、世界自然遺産の「核心部」とされる知床岬地区での基地局計画の凍結を決めた。生態系への懸念から地元2町のうち斜里町が計画の見直しを要望。「地元の合意」が崩れ、国の補助事業が成り立たなくなった。推進会議は2年前の小型観光船の沈没事故を受け、携帯電話の不感地帯解消を目的に発足。総務省主導で知床半島に4基地局を新設・増強する計画を決め、環境省は今年3月に事業を許可した。ところが、4月の推進会議で工事の規模が公になり、規模の大きさに驚いた斜里町が計画の見直しを国に要望。反対署名運動も起こった。希少種オジロワシの影響評価をしていなかったことも発覚し、工事は中断。知床世界自然遺産地域科学委員会は6月、携帯電話事業者に再調査を求めた。一方、知床半島東側のニカリウス地区(羅臼町)については、地元漁業者や町の要望が強いことから、科学委員会の助言を受けながら影響調査をし、事業を継続する。(10/12 朝日新聞のウェブサイト

リニア工事現場付近で気泡水が噴出

 東京都町田市内のリニア中央新幹線トンネル工事現場近くの住宅で、地中から水と気泡が湧き出ていた。JR東海はシールドマシンによる掘削工事を一時中断し、工事との因果関係を調べている。JR東海によると、現場は地下40m以下の「大深度」を通る第一首都圏トンネルのうち、川崎市内から相模原市内に至る「小野路工区」。掘削が地表に及ぼす影響を調べる調査掘進のため、町田市内の小野路非常口から西側に247m掘り進んだところ、約40m先にある住宅の庭で2024年10月22日、水と気泡が湧き出すのが確認されたという。掘削は同日中断し、気泡などは24日までにやんだ。(11/7 朝日新聞のウェブサイト

親のスマホ依存が子に悪影響との研究

 エストニア心理学研究所は、5歳以下の子どもがいる400以上の家庭を対象に、親がスマホ、PC、タブレット、テレビを絶え間なく使用することによる悪影響を調査。NEWYORK POSTによると、調査報告書は「親のテクノリファレンス(スクリーン機器の使用により、親子間の対面での交流が定期的に妨げられること)は、子どものメンタルヘルス、家族関係、子どもの認知発達に影響を与える」と指摘。子どもは親のデバイス依存を真似する傾向があることも判明し、親がスマホなどの画面に夢中になればなるほど、子どもも夢中になってしまう。また、収集したデータをもとに子どもたちの言語発達について調べたところ、スクリーンを楽しむ時間が短い子どもは、文法と語彙の両方で高い成績を収めていた。子どもの言語発達のほとんどは大人と会話することで起こり、そこから語彙や文の構造に触れることになる。そのため、スクリーンタイムが長くなると、家族の対面での会話や、言語発達に不可欠な他の言語豊かな体験の機会が減る可能性が高い。(9/25 Harper’s BAZAAR

子どものスマホ利用規制、各国の動向

 SNSやスマホの利用による子どもへの心身の影響が世界的に問題となり、各国が規制や、規制に向けた議論を進めている。特に欧米で活発化し、米フロリダ州は2024年3月、14歳未満のSNSアカウントの保有を禁止する法案を可決。オーストラリアは8月、心身の健康へのリスクを理由に、子どものSNS利用を禁じる法案を年内に議会提出すると発表した。各国の進捗がわかるニュースをピックアップした。
<アメリカ>
・米NY市、若者の精神衛生危機めぐりSNSを提訴(CNN.2024.02.16)
・スマホに費やす時間「多すぎ」、10代若者の3分の1超が自覚 米最新調査(BBC.2024.03.13)
・米フロリダ州、14歳未満のSNS禁止 国内で最も厳格な州法か(CNN.2024.03.26)
・SNSは子どもに有害、たばこと同じ警告表示を 米医務総監が「緊急事態」宣言(CNN.2024.06.18)
<オーストラリア>
・豪、子どものSNS使用禁止法案を提出へ 心身の健康にリスク(Reuters.09.10)
<イギリス>
・16歳未満のスマートフォンの禁止を検討(The Register.2024.05.28)
<フランス>
・11歳までスマホ禁止、SNSは18歳以降が望ましい…フランス政府委託の調査報告が提言(Businessinsider.2024.05.10)
<スウェーデン>
・スウェーデン、2歳未満の子どものスクリーンタイムの廃止を求める国に加わる(APNEWS.2024.09.06)
<スペイン>
・カタルーニャ州、学校でのスマートフォンを禁止(Brusselssignal.2024.02.01)
<中国>
・ネットから青少年を守れるか? 中国の新規制(AFPBBNews.2024.01.25)
<韓国>
・親が「スマホ」中毒→78%の確率で子どもに“転移”…韓国チーム「スマホ依存」研究
9/27 ウーマンズラボ

窓ガラスに携帯基地局と太陽光発電パネルを設置した基地局の実験に成功

 日本電気とAGCは、太陽光発電ガラスとガラスアンテナを活用した、屋内設置が可能な「景観配慮型サステナブル基地局」=図=の実証実験を行い、通信の確立を確認したと発表。5G展開のためにはより多くの基地局の設置が必要だが、設置場所確保が課題になっていることから、景観にも配慮し[編注:基地局の存在が分かりにくくなる]、太陽光発電を利用した「サステナブル」な基地局システムを開発したもの。ビルの直下やビル間など、ビル影で電波が届きにくいエリアをカバーするような活用を想定している。(11/11 AGC

デジタル教育の見直し各国の動向

 週刊誌「週刊文春」が「デジタル教育で日本人がバカになる!」というキャンペーン第2弾で各国の動きを紹介。
<フィンランド>
・国際学習到達度調査(PISA)で順位が後退。
・人口3万人のリーヒマキは中学校1年生で毎週22時間ノートPCを使っていたが、中学生の保護者へのアンケートで約7割が紙の教材を使ってほしいと望んでいることが判明し、紙の教科書を復活させることを決定。
・首都のヘルシンキ市も追随。
<スウェーデン>
・2024年7月に改正教育法が施行、デジタルに置き換わっていた紙の教科書をすべての小中学生に再配布することを義務付け。PISAで順位を落としたことが背景。
<デンマーク>
・中学生のタブレットなどでの学習時間は1日約3.8時間とOECDでも最長。しかしPISAのランキングが後退し、今年2月、政府は小中学校に対して「アナログ学習の余地を設ける」よう勧告。
<シンガポール>
・シンガポールはPISAの読解力、科学、数学の3部門で世界トップを独占。中学校では1人1台の端末を配布しているが、小学校では、授業中、必要なときだけタブレットを配布し、終わったら回収。
<米国>
・カリフォルニア州では小中学校における1人1台のデジタル端末導入は実現していない。
・シリコンバレーにある、ヴァルドルフ・スクール・オブ・ペニンシュラという学校(卒業生の約96%がカリフォルニア大学バークレー校などの名門大学に進学)では、1984年の設立当初から「反デジタル教育」を徹底。同校の責任者は「生徒の親のうち4分の3がテクノロジー企業に勤めています。親はテクノロジーを理解しているからこそ『我が子が小さいうちは、デジタル機器に触らせたくない』と思っているのです」。小1~中1はデジタル機器はまったく使わず。中2からはコンピュータで検索などを教えるが、1週間に1コマだけ。
<ドイツ>
・国を挙げて生徒1人1台端末を進めていたが、40人超の学者が連名で学校のデジタル化の一時停止を求める声明を発表。
(11/21 週刊文春)

貸与用のGIGAスクール端末、3分の1使われず

 全国の児童生徒1人につき1台の学習用端末を配る「GIGAスクール構想」で、低所得世帯などの公立高校生に貸与するなどのために、文科省の補助を受けて自治体が購入した学習用端末の活用状況を会計検査院が抽出調査したところ、約9万5600台のうち3分の1が一度も使われていないことが分かった。未使用の端末台数は補助金約12億7000万円に相当する。検査対象は、道府県や市町村など38自治体が21年度に補助金計約38億1300万円を使って調達した計約9万5600台。2024年4月末までの貸与状況を調べたところ、34%にあたる約3万2800台が未使用だった。各自治体の試算などを踏まえ、検査院は約1万3600台は今後も貸与されない見込みだとしている。貸与が低調だった自治体では、生徒が私物の端末を学校に持参できる「BYOD方式」や、学校指定の機種端末を生徒が購入する方式を採用しており、調達時の想定より貸与の希望者数が少なかった。検査院は文科省に対し、参考となる情報を自治体に提供するよう求めた。文科省担当者は「詳細は検討中だが、有効的な活用方法を自治体側に通知したい」とコメント。具体例として、教員が授業時や校務で使うことのほか、生徒の端末が故障した際の代替機とすることなどを挙げた。(10/16 日本経済新聞

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