米カリフォルニア州の3自治体 5G基地局設置を凍結

 世界有数のハイテク産業の集積地と言われる「ベイエリア」(サンフランシスコ湾の湾岸地域の呼称)に位置する裕福な都市ミルバレー(Mill Valley)市(米国サンフランシスコ州マリン郡)は9月6日、事業者から住居地域への5G(第5世代移動通信システム)基地局設置申請があっても、これを受けないとする条例を9月7日に制定しました。

健康影響を懸念

 テクノロジー業界のニュースサイトTechCrunchによると、同市の人口約14,000人の約1%に相当する145人から、健康影響の懸念などを理由に5Gに反対する手紙が市へ届きました。これに対して、賛成はわずか5通でした。こうした住民の声を背景に、5G電気通信設備の今後すべての申請に対して住居地域については禁止する緊急条令を市議会は満場一意で可決し、ただちに発効しました。商業地域についての申請は認められるとのことです。市は来年中に、恒久的な条例を制定すると表明しています。
 スマートシティ業界のニュースサイトSMART CITIES DIVEによると、同様の条例を制定したマリン郡の自治体は、サン・アンセルモ(San Anselmo)とロス(Ross)に続いて三つ目とのことです。

 条例についてTechCrunchは「通常規模の都市近郊をカバーするのには数百の基地局が必要だが、(条例により)5Gの展開は困難を超え、不可能に近づいた」「いくつかの地方自治体で(電磁波への)健康上の懸念が沸騰しているが、その懸念は世界規模では共有されていない」と、批判的に論じています。
 一方でSMART CITIES DIVEは、決定的ではないもののこれまでの研究を通して、電磁波ががん、疲労、頭痛や他の影響のリスクを増加させる可能性があると指摘されていることにも触れています。【網代太郎】

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