イタリアの裁判所が、携帯電話をがんの原因と認める

 イタリアのトリノ控訴裁判所は、長時間の携帯電話使用によって聴神経種を発症したという男性の訴えを認めた第一審の判決を支持し、男性への補償を命じる判決を11月2日に出しました[1]。
 男性は、ヴァッレ・ダオスタ州の企業で専門技術者として働きました(63歳、現在は退職)。1995~2008年の13年間に、携帯電話(1G、その後2G)を合計1万時間以上(1日平均約2時間半)、使用し続けました。
 男性は左側難聴、顔面神経麻痺、平衡障害、腫瘍によるうつ病症候群と診断されています。第一審のアオスタ裁判所は、携帯電話の使用と聴神経腫瘍との因果関係を認め、職業性疾病を理由に、INAIL(労災事故をカバーする国の保険制度)に毎月約350ユーロの年金を支払うよう命じました。
 控訴審での科学的・医学的議論は、トリノ大学耳鼻咽喉科のRoberto Albera(ロベルト・アルベラ)名誉教授がリードしました。

イタリアで携帯電話と脳腫瘍の関係を認める判決は3度目か
 イタリアの裁判所は、これまでも携帯電話をがんの原因と認める判決を出してきました。
 1度目は2012年10月(会報第79号参照)[2]。
 2度目は、第一審判決が2017年で、イブレアの裁判所が下しました(会報第106号参照)。2020年にトリノ控訴裁判所が第一審判決を支持。携帯電話業界が出資する科学者やICNIRPのメンバーは、独立した科学者よりも信頼性が低いことを裁判所は認めました[3]。【網代太郎】

[1]Tumor and cell phone: the Court of Appeal of Turin indemnifies an employee
[2]Italy court ruling links mobile phone use to tumour
[3]The Court of Appeal of Turin confirms the link between a head tumour and mobile phone use

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