鳥取市内の変電所建設の差止請求が却下される

子供と保護者239人の申立を退ける

□2007年6月28日に却下
 鳥取市の中心街にある、遷喬(せんきょう)小学校に隣接する所に、11万ボルトの変電所を中国電力が建設しようとする計画に対し、その小学校の子供と保護者239人が建設の差止を求めて、仮処分を申し立てていた。
 この申し立てを却下する判断を、鳥取地方裁判所の古賀輝郎裁判長が出した。

□何故小学校の近くに建設するのか
 訴えた239人の子供や保護者の怒りは、よりによって小学校に隣接した所につくるのかにある。
 鳥取地方裁判所は、(電磁波と健康障害の関連を示す)疫学的調査結果は内容が不明瞭で、保護者らが主張する不安感に合理的理由がないと判断した。これは明らかに知識不足である。2007年6月18日に発表された国連保健機関(WHO)の環境保健基準を裁判官が見ていれば、疫学調査結果から予防的アプローチが必要ということの合理的理由が理解されたであろう。変電所の新設段階で、利害関係者も含めて、電磁波曝露低減の方策を探ることは可能である。しかも、既設変電所の撤去はコストがかかるが、新設計画の見直しはコストがかからない合理的な方法である。
 日本の裁判制度は前例主義から抜け出ていない。それだけに、たった一度でも住民を支持したら影響が大きすぎると裁判官は考えたのであろうが、予防的発想に転換しなければならない時期に来ていることを、裁判官は認識してほしいものである。


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