<海外情報>

世界保健機関インターフォン計画まもなく発表へ

□なぜ、こんなに発表が遅れるのか
 2009年5月に、WHO(世界保健機関)の研究機関であるIARC(国際がん研究機関)が、インタ−フォン計画全体の第1報は近く(早ければ2009年8月中にも)学術誌に掲載されると発表された時より、異例に遅れています。
 インタ−フォン計画とは、IARCがコ−ディネ−トをして、13ヵ国(英国、ドイツ、フランス、カナダ、イタリア、日本、オ−ストラリア、ニュ−ジ−ランダ、イスラエル、デンマ−ク、フィンランド、スウェ−デン、ノルウェ−)が参加した、「脳腫瘍と携帯電話の関係をみる国際共同症例対照疫学研究」であり、2013年に予定されている、WHO国際EMFプロジェクトの「高周波分野における環境保健基準」の策定の一環として行なわれている、大規模疫学調査です。

□既に各国調査は終わり、プ−ル分析のみ
 電磁波研会報62号2ページ以降に、各国研究調査あるいはグル−プ(数カ国共同)研究調査の研究結果を紹介しますが、各国の調査結果は既に出そろっています。あとはそうした個別研究結果を基にした、プ−ル分析結果のみ残っています。
 プ−ル分析とは、それぞれ研究条件が違う個別研究デ−タを、あたかも同一条件の研究であるかのように、デ−タをまとめて(プ−ル状態にして)分析する手法です。小児白血病のように、対象が10万人に3〜4人といった具合に限られている場合には、プ−ル分析すると、対象数が一定規模確保された研究として、研究結果の信頼度が高まることから採用されます。
 ここまで発表が遅れているのは、このプ−ル分析評価を巡って、IARC内部で激しい意見の対立があるのかもしれません。WHOの上層部は政治的ですが、ロビ−活動に惑わされず、科学的に対応することを望みます。


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