名取変電所問題 フェアでない東北電力の石巻変電所見学

住民に正しい情報を出すべきです

 宮城県名取市愛島(めでしま)地区に東北電力が建設を予定している名取変電所問題に新たな動きがありました。

住民の要望にこそ答えるべきです
 東北電力は、周辺住民対象の「石巻変電所見学ツアー」を企画しました。「名取市と同規模の変電所」ということで同じ宮城県内の石巻変電所を見学させようというのです。それ自体はもっともな企画といえます。しかし、電力会社の見学ツアーというのは、原発ツアーで批判されているように「電力会社の都合のいい説明はしても、不都合なことは言わない、見せない」のが常です。住民組織の「名取変電所と健康を考える会」と「愛島の環境を守る会」は、「石巻変電所見学の前に、名取変電所に関する徹底した情報公開を」と要求しています。東北電力はこうした要求にこそ答えるべきです。

住民に知らせず、出力3倍に
 変電所に反対する住民たちは、東北電力主催の見学ツアーには行かず、自主的に石巻変電所に調査に行きました。そこで住民たちは重大な事実を知りました。石巻変電所正門前の案内図に、出力規模は「30万KVA」と掲示されていたのです。ところがよく調べてみると、石巻変電所新設時は「30万KVA」でした。その後に増設・増強され、新設時の3倍の「90万KVA」に変更されていました。この規模は名取変電所と同規模です。その事実を周辺住民に聞いたところ「建設時にも東北電力から説明はなかったし、増強についても一切説明はなかった」そうです。

フル稼働していない変電所で何がわかる?
 石巻変電所の出力が3倍に増強したのは、女川原発の2号機・3号機が増設されたためです。現在女川原発は停止中です。女川原発から送られてくる巨大な送電電力のために石巻変電所は増強されたのですが、今は逆に女川原発を冷却するための電気が、他所から女川原発に送られています。こんなフル稼働していない石巻変電所を「同じ90万KVAだから」と名取変電所住民を連れてきて、変電所周辺の電磁波を測定しても、意味がありません。それどころか「変電所からはこの程度の電磁波しか出ていない」という実態とかけ離れた数値を住民に示すことは、一種のだましではないでしょうか。今回は、住民たちが自主的に調査したから、こうした事実がわかりましたが、お仕着せの東北電力主催見学ツアーでは、正しい事実は説明されないでしょう。【大久保貞利】

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