「愛知県日進市南山の基地局電磁波を考える会」の要望書 ドコモ東海から回答

 「愛知県日進市南山の基地局電磁波を考える会」の本田理加さんらが、株式会社ドコモ東海あてに携帯電話基地局撤去などを求める要望書を提出しました(会報前号参照)。これに回答がありました。
 携帯電話事業者に要望や質問をしたときの回答は、現状ではこのような内容になるだろうと思います(ただし一部、看過できないウソもありますが)。しかし、電磁波で困っている人々がいることを、何度も事業者へ伝えていくことは大事だと考えます。本田さんたちのような行動を、多くの方々が一つ一つ積み重ねていくことが、世の中を変えていく力になっていくと思います。
 この回答についてご紹介します(一部省略)。電磁波研・網代のコメントを、ご参考までに付記させていただきます。
 なお、小見出し、および、回答中の丸数字は、この会報のために網代が付けたものです。【網代太郎】


基地局の撤去を
要望1
 住宅に異様に近接して設置され、近隣住民に既にほぼ一年に渡り継続して健康被害を及ぼしている南山エピック内のNTTドコモ4G基地局アンテナの稼働の停止・撤去を求めます。

回答1
 ①ドコモの携帯電話基地局は、国が定める電波防護指針を遵守して運用しています。
 この指針は、10倍から50倍の十分な安全率を考慮しており、世界保健機関(WHO)が推奨する国際的ガイドラインに準拠しています。これを満たしていれば、すべての人々の健康への安全性が確保されるというのが、WHOをはじめとして国際的な考えとなっています。
 ②実際の携帯電話基地局からの電波の強さは、
基地局のごく近くであっても、電波防護指針の基準値の数百分の1から数万分の1以下、と非常に弱いため、ご安心いただけるものと考えています。
 ③また、本無線局を稼働停止・撤去した場合には、本無線局によりカバーされているエリア内のご利用の皆様に、ご満足して頂ける通信サービスが提供困難となりますので、無線局の維持について何卒ご理解をお願いいたします。

コメント1
 ①について:WHOは「ファクトシート304」(2006年5月)で「(WHOの)国際電磁界プロジェクトは、広範な国際的レビューを終えた後、知識の欠落部分を埋めるための研究を推進しています」「WHOによって研究は依然として推進されています。携帯電話からのさらに高いRF[筆者注・ラジオ周波数=高周波電磁波]ばく露により、何らかの健康影響があるか否かを明らかにするためです」と書いています。ドコモが言うような「国際的ガイドライン…を満たしていれば、すべての人々の健康への安全性が確保される」との断定をWHOはしておらず、ドコモの回答は、この点で虚偽であると言えます。
 ③について:ドコモの携帯電話で通話をしたりSNSをするうえで、都市部で「電波が悪い」ところはほどんどなさそうで、より高速なサービスのために基地局を増設しているのが実情です。携帯電話の利便性を無限に追及したい側の利益ばかりが優先されるべき道理はありません。

基地局をこれ以上増設しないで
要望2
 日進市内の基地局アンテナに関し、これ以上の増設および展開の中止を求めます。

回答2
 ①ドコモは、電波を利用した通信サービスを提供することによって、お客様の生活を豊かにし、社会を支える重要な役割を担っています。
 リモート型社会への構造変化にも柔軟に対応し、新たな価値創造や社会課題の解決に向けて、今後ますます移動通信サービスの役割は大きく、さらなる進化を求められているのが現状です。
 ②その役割において、ご利用の皆様の利便性の向上や、IoT世界の実現に向けて、国が定める電波防護指針を順守しながら、より良い通信サービスの実現を目指して、設備増設や展開を進めております。
 何卒ご理解をお願いいたします。

コメント2
 ②について:5Gは4Gの10~100倍高速とのことですが、多くの人々が本当にこのような「進化を求め」ているのでしょうか。多くのユーザにとっては4Gの速度で十分であり、5Gのメリットが見えないと指摘されています。

アンテナを住宅地に向けないで
要望3
 基地局アンテナを住宅地に向けて設置しないでください。

回答3
 基地局アンテナの方向については、どこでもストレスフリーに携帯電話がご利用いただけるように考慮して、最適な方向に向けて設置しております。
 これにより、現在進められている遠隔医療やリモート学習、テレワーク支援、見守り支援など地域に皆様に貢献できるものと考えております。(略)

コメント3
 挙げられているサービスは、携帯電波が不可欠ではありません。イーサネット(有線LAN)のほうが、健康面だけでなく経済面でも優れている場合が多そうです。

電磁波シールドの設置を
要望4
 基地局アンテナを住宅地に向けた場合は、該当する範囲の住宅・住民全員に対し、電磁波から身を守るための電磁波シールドの設置、もしくは同等のシールド効果のある器具を配布してください。

回答4
 ①住宅地に限らず、国の定める電波防護指針を遵守していることにより、携帯電話基地局から出ている全ての方向の居住者様の安全性は確保されておりますので、携帯電話の電波から身を守るためのシールド等は不要と考えます。
 ②なお、住宅等に電磁波シールドを設置された場合には、気象庁が配信する「緊急地震速報」や「気象等に関する特別警報」、各省庁・地方公共田団体等が配信する「災害・避難情報」の受信が困難となる恐れがあります。

全国的な疫学調査を
要望5
 全国的な疫学調査で安全であることが確認されるまで、基地局アンテナの建設や展開を一時停止することを求めます。

回答5
 ①我が国の定める電波防護指針は最新の科学的知見を反映し定期的に検証されています。
 国際非営利放射線防護委員会(ICNIRP)および、米国電気電子学会(IEEE)の電波防護の国際的ガイドラインが2019年から2020年にかけて改定されました。
 ICNIRPは改定にあたり『新ガイドラインを遵守している限り、5G技術が害を生じることはあり得ない』とコメントしています。日本の電波防護指針はこれらに準拠しています。
 ②また、総務省が開催した「生体電磁環境研究推進委員会」(1997年-2007年)は、電波の生体安全性評価に関する研究結果を取り纏め、最終報告(2007年4月)を以下のとおり発表しています。
 『我が国をはじめ国際的な専門機関では、電波防護指針値を下回る強さの電磁波によって健康に悪影響を及ぼすという確固たる証拠は認められていないとの認識で一致している。』
 なお、総務省は引き続き、2008年から「生体電磁環境に関する検討会」を開催し、電波の安全性に関する研究を推進しており、2015年7月1日に現時点での見解を第一次報告書に取り纏め、以下のとおり公表しています。
 『現在の知見からは、電波防護指針を適用することで、電波の安全な利用が担保されるものと認識する。』
 ③これまでも20年以上にわたって国内外で多数の研究が行われてきましたが、携帯電話の使用を原因とするいかなる健康影響も立証されておりませんので、ご理解願います。

コメント5
 ①について:ICNIRP委員の14名の科学者のうち医学資格を持つ者は1人だけであること、また、委員らの大多数が産業界から資金の一部を提供された研究を行ったことがあるという利益相反の問題があります。欧州議会のある議員らは昨年6月、「真に業界から独立した科学的助言を得るためにはICNIRPに頼ることはできない」として、EUに対して、「ICNIRPへの資金提供をやめて、新しい諮問委員会を設立すべき」と提言する報告書を公表しました(会報第125号参照)。ICNIRPは業界が歓迎する指針値を公表し続けていて、科学者団体として必ずしも信頼されていません。
 ②について:総務省で電波防護指針を検討するメンバーらにも、ICNIRPと同様の問題があり、信用できません。
 ③について:4Gなど既存の電波による健康影響は明らかであるとして、世界各国の研究者が5Gの一時停止を求める声明を出しています。

 

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