「近くに4G基地局ができてから、牛の死亡が相次ぎ、乳量も落ちている」 フランス裁判所、基地局の2カ月操業停止と専門家による調査を命令

 ニュースサイト「The Connexion」から「French court orders 4G antenna switch-off over cow health concerns」という記事をご紹介します。[ ]は訳注。【訳・網代太郎】


フランスの裁判所、牛の健康への懸念から4Gアンテナの停止を命令
フランス中東部のある農家では、アンテナ設置後数日で乳量が15〜20%減少し、200頭の牛のうち40頭が死んだという。
By Hannah Thompson

 オート=ロワール県の酪農家であるFrédéric Salgues(フレデリック・サルグ)氏が、アンテナが牛の健康を害している疑いがあると訴え、クレルモン=フェラン(オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏)の行政裁判所は、アンテナを切るよう命じた。裁判所は「総合的な影響を考慮し、その間の牛の群れ、特に乳牛の行動を司法専門家にモニターさせることを命じるのが適当である」と述べた。[携帯電話]事業者であるオレンジは今後3カ月間、この判決に従って行動し、アンテナの運用を停止する一方で、影響を受ける地域のオレンジユーザーに対して緊急通報を含む電話サービスの提供を確保する必要がある。判決後、Salgues氏はAFP通信に対し、牛が「一日も早く回復する」ことを願うと述べ、この判決は「大きな安堵と勝利」だと述べた。
 Salgues氏によると、2021年7月にマゼラ=ダリエ(オート=ロワール県)の彼の農場から200m離れた場所にアンテナが設置されて以来、通常200頭いる牛のうち約40頭が死亡し、アンテナを付けてから数日で乳量が15~20%減少したという。彼は「この残酷な乳量減少を説明できる医学的要素は(アンテナの他には)ない」と述べている。アンテナ設置を許可したマゼラ=ダリエのPhilippe Molhérat市長は、農家を支持する証言をした。彼は「人間レベルの大惨事」を恐れ、彼の村の1,500人の住民のために「懸念」を募らせたという。しかし、この判決で影響を受けた携帯電話会社(オレンジのほか、フリー、ブイグテレコムも含まれる)の弁護士は、動物の健康と携帯電話のアンテナ周辺の電磁波との間に関連性があるという「科学的証拠はない」と述べている。4Gよりもさらに高速なインターネット速度を約束する5Gの展開が、フランスで論争を巻き起こしている。多くのアンテナが破壊され、Covid-19の蔓延の原因として(今では否定されている説だが)非難されたりもしている。しかし、フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は、現在の科学的研究によれば、5Gアンテナは「前世代の接続に非常に近い周波数を使用している[フランスではミリ波を未利用]ので、健康に目立ったリスクはない」と繰り返し発言している。

 
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