神奈川県大磯町の自宅のすぐ脇に楽天モバイルの基地局が設置されてから、家族や自分が体調を崩し、引っ越しに追い込まれた村越史子さん(会報第140号ほか)らは、大磯の住民、町、町議会への働きかけを継続しています。楽天に説明会を求める陳情が町議会で趣旨了承[1]され、それを受けて町長が楽天へ説明会開催を要請すると表明しました。
やはり大磯に住みたい
海に近い環境の良い場所に住みたいと考えていた村越さん親子は、大磯町が気に入り、家を新築して都内から引っ越してきました。基地局建設後の体調悪化で断腸の思いでその家を手放し、今は隣の平塚市内の借家で暮らしていますが、「やはり大磯に戻りたい」と願っています。大磯町の元自宅の近所のCさんも体調を崩しつつも、電磁波からの自衛を試みながら、この基地局の近くに住み続けて、村越さんと行動を共にしています。
楽天に説明する義務
5月22日には、Cさんと村越さんは、この基地局から300m以内の住民と希望する大磯町民に対し、この基地局についての説明会を開催するよう楽天モバイルに求める陳情書を大磯町議会に提出しました。陳情書は「陳情活動に際し、署名していただいた基地局周辺の40名を含め、大磯町の住民は健康被害の不安を抱えています」「楽天モバイルは住民説明会で健康被害の見通しも含め、住民の不安に応える義務があります」として、以下についての説明を求めています。①基地局から発する電磁波の強度(24時間の時間別、1週間にわたる変化)、②電波の周波数と出力数、③周辺住民へのリスクならびにその対策、④健康被害が生じた場合の補償、⑤その他、住民からの追加質問。
町議会に招かれる
陳情書が審議された6月6日の町議会総務建設常任委員会に、Cさんと村越さんが呼ばれ、意見を述べました。その際、昨年8月に開催した基地局問題院内集会の記事を掲載した電磁波研会報第145号や、村越さんたちが基地局周辺住民らに行った健康問題のアンケート調査結果(会報第147号既報)などの資料を、委員らに提出しました。
審議の結果、「趣旨了承」と議決されました。
町長から電話
翌朝、大磯町の池田東一郎町長からCさんに電話があり、町として楽天に対して書面と電話で説明会の開催を要請することが伝えられました。
7月25日現在、楽天からの回答はまだありません。【網代太郎】
[1]趣旨了承とは、陳情(請願)の内容について、願意は十分に理解できるが、当地方公共団体の財政事情等から等分の間は願意を実現することが不可能である場合等に、その陳情(請願)の趣旨のみ取り上げる議会の意思決定のことをいう(大磯町議会のウェブサイト「議会用語」)。