前の記事でアーサー・ビナードさんが触れていた通り、WHO事務局長(当時)のブルントラントさんへノルウェーの新聞がインタビューし、事務局長は自分が電磁波過敏症であると述べました。18年も前の古い記事ですが、読んだことがない方も多いのではないかと思い、ご紹介します。出典は Interview with Gro Harlem Brundtland【訳・網代太郎】
グロ・ハーレム・ブルントラントWHO事務局長と携帯電話問題
ノルウェー前首相でWHO事務局長のグロ・ハーレム・ブルントラントは携帯電話を使うたびに頭痛に悩まされている
ノルウェー紙『Dagblade』2002年3月9日付カバーストーリーの翻訳
WHO事務局長グロ・ハーレム・ブルントラント(62)は、携帯電話で通話すると頭痛がします。それだけではありません。彼女の近くにいる人々は、彼女の苦痛を防ぐために、携帯電話をオフにしなければなりません。
By Aud Dalsegg
「私が反応するのは音ではなく、波なのです。私の過敏症は、私から4mよりも近くにある携帯電話にさえ反応してしまうほどになってしまいました」とグロは説明します。私たちがオスロの「ノルウェー衛生管理局」にある彼女の事務所に彼女と一緒に座ったとき、彼女は電源が入った携帯電話が部屋にあるかどうか尋ねました。彼女は軽い頭痛を覚えたことに気づいたのです。カメラマンのジャケットのポケットの中に、電源を入れサイレントモードにしていた携帯電話がありました。
グロは、自分の携帯電話を持っていませんでした。しかし、彼女の側近は持っていて、以前、彼女はその側近の電話でよく電話を受けました。彼女は、携帯電話使用について慎重である理由があると言います。
「最初のうちは、私は耳の周りに居所的な温かさを感じました。しかし苦痛はさらに悪化して、私が携帯電話を使うたびの強い不快感と頭痛に変わりました」とグロは言います。彼女は、通話を短くすれば苦痛から逃れられると考えましたが、それでは解決しませんでした。しかも、彼女自身が携帯電話の使用をやめても解決しませんでした。今日、携帯電話は誰もが使う道具であり、彼女の職場であるジュネーブの世界保健機構(WHO)も同様です。
「しばらくして私は電磁波に過敏になったと感じました。そして、ヒステリーのためであると思われないように-そうだと信じる人がいるだろうと、まさに私にも想像できました-私は、いくつかのテストをしました。ポケットやバッグの中に携帯を隠した人々に私の事務所へ来てもらいました。それがオンなのかオフなのかを知らされずに、私は自分の反応をテストしました。私は常にオンの時に反応し、オフでは決して反応しませんでした。ですから、疑う余地はありません」。
パソコンはどうですか?
-「画面に表示されているものを読むためにラップトップパソコンを持つと、腕に感電したように感じます…」。
携帯電話からの被曝による彼女の頭痛は、被曝がやむと30分から1時間で軽くなります。
コードレス(電話)に耐えられない
コードレス電話は家庭にますます普及していますが、携帯電話よりも強い電波を出すと言われています(デジタルコードレス電話には低出力モードがないため)。グロはそのようなもの(電話)にも耐えられません。「私がそのような電話に触れば、即座に反応します」。
携帯電話を使わないようお勧めしますか?
-「明瞭な警告を出すための科学的な証拠はありません。例えば、電磁波が脳腫瘍をもたらすことは確定されていません。WHOは大規模な研究を継続中で、2~3年後には、これらすべての疑問に対するより良い答えが得られるでしょう。しかし、科学者が警告するのは理解できます。(携帯)電話を必要以上に使わないして慎重になるべき理由があると思います。そしてあなたのような若者には、これを真剣に受け止める多くの理由があります。予防原則に従うべきだと思います」とグロ・ハーレム・ブルントラントは言います。
以前の科学者と医者は電気に対する過敏症を無視しました。「電気過敏症のためのノルウェー協会」は抵抗が強すぎると感じて活動をやめました(その後、再開しました)。
「しかし、私はこれを真剣に受け止められなければならないと確信しています。携帯電話やパソコンのような機器からの電気や放射線に過敏になる人たちもいます。この過敏さが、がんや他の病気のような健康被害につながるのかどうかは、まだわかりません。しかし、特に子どもたちに関しては、予防原則に従うべきだと思います」。