スマホの出力アップ方針、6月5日まで意見募集中

空中線電力の異なる周波数帯の組み合わせの例(情報通信審議会の委員会の報告(案)概要より)

 総務省は、スマホなど携帯電話端末の最大出力をアップできるよう規制緩和する方針を決め、6月5日まで意見(パブリックコメント)を募集しています。異なる複数の周波数帯で通信できる機能を持つスマホなどについて、それぞれの周波数帯の最大出力まで出せるように出力上限を緩和するというものです(表)。
 緩和によって電波防護指針を超える心配はないのでしょうか。総務省の情報通信審議会に設けられている委員会がまとめた報告書(案)は、電波防護指針は6分間の平均で基準値を下回れば良いと規定しており、最大出力を6分間出し続けることは「実運用上ほぼない」ことなどを根拠に「多くの場合電波防護の基準に適合しつつ高出力化を行うことが可能となる」としています。ただし、携帯電話端末が基地局からの送信指示を過度に受け取った場合などに電波防護指針を超えないよう、一時的に端末の最大出力を落とす仕組みが必要であるとしています。
 電波の熱影響しか考慮しない総務省や国際指針値は6分間平均で良いという考え方です。一方で、平均値よりも最大値のほうが問題である可能性を指摘している研究者もおり[1]、より大きな最大値を許容する今回の方針は健康影響増加につながるかもしれません。
 意見提出方法については、以下を参照してください。「新世代モバイル通信システム委員会報告(案)に対する意見募集-『新世代モバイル通信システムの技術的条件』のうち、『5G等の利用拡大に向けた中継局及び高出力端末等の技術的条件』-」 【網代太郎】
[1]たとえば、会報第93号「当会主催講演会 携帯基地局周辺の電磁波と健康被害」を参照。

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