スマートメーターの通信頻度はコンセントレータに近いほど多い 「セキュリティ」理由に市民に隠していた事実をエネ庁検討会の配布資料が公表

図1 三菱総研「スマートメーターの技術課題と通信技術の将来動向について」より。「スマートメーター仕様検討ワーキンググループ」第2回(2020年10月28日)配付

 スマートメーターについてよくある誤解は、30分に1回しか電波を出さないというものです。確かにそのメーターが計測している家庭などの電力使用量データの送信は30分に1回ですが、スマートメーターが送信しているデータはそれだけではありません。とりわけ、無線マルチホップ方式の場合は、コンセントレータという携帯電話基地局のようなものを目指して、そこから遠いスマートメーターから、より近いスマートメーターへと、バケツリレー方式でデータを受け渡していきます。したがって、30分に1回よりはるかに多い頻度で通信電波を出していますし、コンセントレータに近いほど、その頻度は増えます。これは無線マルチホップの原理を踏まえれば自明であり、機密情報でも何でもありません。
 ところが、電力会社及び経済産業省資源エネルギー庁(エネ庁)は、当会が「スマートメーターの通信頻度はコンセントレータに近いほど増えるという理解で良いか」と質問しても「セキュリティに万全を期すため」などの理由で、回答を拒否し続けてきました(会報第94号他)。
 しかし先般、エネ庁は自ら、この「セキュリティ」に関わるはずの情報を公表しました。次世代スマートメーター検討会の下に設置されていたワーキンググループでの配布資料の中に、コンセントレータに近いスマートメーターほど通信頻度が多くなることを示す図が、バッチリ掲載されています。図1の左下の部分です。
 電力会社とエネ庁は、市民団体に対しては情報開示を拒み続けました。その一方で、中嶋好文・東京電力スマートメーターオペレーションセンター所長(当時)を講師に迎え、企業関係者を主な対象としたセミナー(2016年3月)に筆者が高い受講料を支払って参加し、その場で筆者が「コンセントレータに近いほうが通信頻度が増えるか」と質問したら、中嶋所長はその通りだとあっさり認めました。このエピソードは、拙著『スマートメーターの何が問題か』(緑風出版)で紹介しています。
 そして、今回ついにエネ庁自らがその情報を公開したわけです。
 電力会社とエネ庁は、隠す必要がないまったく情報を隠していたということです。このような秘密主義は、現在に至るも変わっていません。コンセントレータの近さと通信頻度の関係だけでなく、スマートメーターの具体的な通信頻度(回数)、通信方式別の電波の出力など、電力会社はいまだに隠しています。それらを公表したところで、セキュリティの問題が発生するとは到底思えません。現に、米国の電力会社は公表しています。市民にできる限り情報を開示して理解を得ようというのではなく、逆に、できる限り情報を隠して、市民が気付かないうちにこっそりと事を進めようというのが、今も昔も変わらぬ、この国の政府や、多くの大企業の姿勢なのです。【網代太郎】

 

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