会報第139号の主な記事

2022.11.27発行

ICNIRPに批判的な研究者による新たな国際委員会「ICBE-EMF」
現在の国際指針値では市民を守れないことを示す論文

山口みほさん(久留米大学非常勤講師、電磁波研会員)

 電磁波の国際指針値を定めているのが「国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)」です。ICNIRPは世界保健機関(WHO)の協力機関に位置づけられていますが、ICNIRP自体はWHOのような国連機関ではなく、ドイツに登録された非政府組織(NGO)に過ぎません。多くの国が自国の電磁波規制値として、この国際指針値を採用しています。日本の規制値も(国際指針値よりやや緩いですが)ほぼ同じです。日本だけでなく、欧州を含む世界中の多くの国々の市民が、ICNIRP国際指針値と同じである自国の電磁波規制は緩すぎる、と批判しています。
 日本の総務省はICNIRPを「中立の非政府機関」だと紹介しています[1]が、実際は産業界からの資金で研究を行っている利益相反の研究者が多いこと(会報第125号参照)や、ICNIRP委員らが関係する研究ばかりを根拠に指針値を決めていること(会報第137号参照)などから、ICNIRPは中立ではないと批判されてきました。
 昨年、各国の研究者らがICNIRPに対抗して、新たな委員会「電磁波の生物学的影響に関する国際委員会(ICBE-EMF)」を発足させました。そして今年10月、同委員会による論文「FCCおよびICNIRPによる高周波放射の曝露限度決定の基礎となる健康上の前提は無効であると科学的証拠は示す:5Gにも波及」が学術誌『Environmental Health』に掲載されました。つづきを読む

NHKバラエティ番組が「意外な妨害電波」発生源を紹介
太陽光発電システムなど対策の不十分さ浮き彫り

 NHK総合テレビで10月20日に放送された「所さん!事件ですよ」で、私たちにとって身近な物も含む意外な物からの電波が電子機器の正常な動作を妨げたりする事例が紹介されました。いわゆる電磁障害(EMI:Electromagnetic Interference)の問題などを取りあげた番組であり、電磁波によるヒトへの影響については、一切触れられませんでした。それでも、興味深い内容でしたし、番組が明らかにした電磁障害への対策の不十分さは、ひいては私たちの健康に影響する恐れがあるのではないかと、筆者(網代)は考えました。つづきを読む

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