公立学校への無線LAN導入 文部科学省と話し合う

今井悠生さん(会員、東京都)

学校無線LAN等について文科省との話し合い=9月29日、参議院議員会館吉良よし子議員事務所

 9月29日木曜日午前10:30~12:00に、吉良よし子参議院議員秘書の協力のもと、参議院議員会館にて文部科学省生涯学習政策局情報教育課の課長補佐他2名と、電磁波問題市民研究会の大久保事務局長、筆者(今井)ら4名が、教育ICT化について話し合いました。情報教育課は、学校無線LANやタブレットの導入を推進している担当部署だからです。
 教育ICT化は、政府が生徒1人1台の情報端末や、そのための無線LAN環境の全小中学校の全教室への整備を進めること等の、教育の情報化であり、2019年度末を目標に急速に進められています。その理由には、産業競争力の源泉となるIT人材の育成や確保を目的とした「第2期教育振興基本計画」があり、普通教室の無線LANを100%にするとの記載があります。
 しかし、普通教室全てへの無線LANの導入と、タブレットの導入は、生徒への電磁波被曝を助長するのでないでしょうか。
無線LANとは、情報を載せた高周波を周囲に発散して、タブレットとの間の高周波で情報交換をします。生徒は無線LANを使用する際に、無線による電磁波被曝を断続的に受け続けます。電磁波を抑えて費用負担も抑えられる有線LANを導入している小中学校が全国で6割近く(2016年3月1日現在)あるにも関わらず、政府は使用勝手がよいとの理由で無線LAN100%を目指しているのです。電磁波の影響を受けやすい生徒は、考慮されているのでしょうか。
 無線LANと同時に、タブレットからも比較的強い電磁波がでています。日本は海外各国と比較しても電磁波のリスクに対して無防備です。成長途上の子供たちにとってわずかな高周波でも成人男性に比べて電磁波被害を受けやすいとの研究結果や、頭痛や倦怠感だけでなく内臓や生殖細胞への影響が動物実験により推察されるとの研究結果が2012年のバイオイニシアティブ報告により発表され、予防原則により電磁波発生の抑えられる有線LANが採用されている国もあります。
 以上の問題意識から、文科省の無線LAN導入方針に対抗する必要があると考えた筆者が当会(電磁波問題市民研究会)に提案し、会として文科相あてに本年7月4日付で要望書を提出、無線LANではなく有線LANの採用や、文科省担当者との意見交換の場を設けることなどを求めました。
 提出にあたって文科省担当者と電話で協議をしたところ、多忙などを理由に当会と会うことを拒否されました。そこで、本年4月に東麻衣子さんがアナログメーター存続の要望書を提出する際にお世話になった仁比聡平参院議員秘書に相談したところ、文部科学委員会理事である吉良議員の秘書の方をご紹介いただきました。秘書の方がこの問題にご関心を持ってくださり、お骨折りいただいて今回、話し合う運びとなりました。
 当日、文部科学省から教育ICT化を推進する制度の説明の趣旨を聴き、質疑応答を行った結果、担当者は電磁波被曝への知識も関心もゼロで、総務省の安全基準に従っているだけとの回答でした。また、電磁波過敏症の児童生徒の相談先は、政府でなく地方の教育委員会であるとの回答を示しました。電磁波影響の考慮はしておらず、また電磁波過敏症の児童生徒についても把握していないし対策を考える予定もないことが発覚しました。
 電磁波面の運動は、科学的根拠にもとづく、その健康被害の可能性を周知し、電磁波の影響を受けやすい方々の声を広めることから始まります。
 今後は、第3期教育振興基本計画部会に対して意見書の送付を検討することや、学校における電磁波問題の普及啓発活動のために、先生や生徒、両親、また一般の人々に対して広く情報提供を検討していきたいと考えています。

 文科省課長補佐の説明、回答の趣旨を、当会による要望書の項目ごとに、まとめて以下に紹介します。

「要望1.電磁波に鋭敏に反応し、症状が出ている児童・生徒が存在することへの認識はありますか? あれば具体例をお示しください。」
 (文科省回答)具体例について、把握はしていません。
 (筆者の感想)所轄外とはいえ電磁波問題について意識が薄く、検討もしていないことが判明しました。

「要望2.ドイツやフランス等の諸外国では、学校への無線LAN環境に対して厳しい制約や勧告がなされています。このような事態を貴省は把握・検討していますか?あれば資料等をお示しください。」
 (文科省回答)今回、電磁波問題市民研究会のホームページなどで、私は初めて認識しました。
 (感想)所轄外とはいえ電磁波問題について意識が薄く、検討もしていないことが判明しました。

「要望3.上記に関連して、貴省は無線LAN係わる問題点を調査するために諸外国に調査研究に行かれたでしょうか。もし行かれてなければ今後行かれる予定はあるでしょうか。」
 (回答)諸外国に調査研究に行った事実はありません。総務省が行くべきと考えていますので、今後も行く予定はありません。
 (感想)学校に関することのため、総務省等と協力して調査して貰いたいところです。

「要望4.情報端末を使用した場合の教育効果は、使用していない場合とどの程度の差がありますか? 具体的な例をお示しください。」
 (回答)「学びのイノベーション事業」を、2011~13年と継続して行ってきました。標準学力検査の結果を、2011年度と2012年度の経年で全国の状況を比較すると、低い評定の出現率が減少している傾向が見られました。高い評定の出現率が多い集団では、さらに高くなる傾向も見られました。タブレットだけでなく、先生の教え方も鍵になっていると私たちは考えています。
 (感想)教育効果は、タブレット等を使うかどうかよりも、先生の教え方が良いかどうかが鍵になっているようです。

「要望5.私たちは、電磁波への影響を懸念する立場から、貴省において、学校のICT化に対する電磁波問題への予防のため具体的な対策を求めます。また、当会は、電磁波による児童・生徒への健康影響を予防するため、無線LANではなくより電磁波の発生が少ない有線LANの学校への使用を要望します。」
 (回答)文部科学省から有線LANを推奨することはできません。総務省の安全であるとの見解と齟齬が生じてしまうためです。ただし、各学校で、電磁波に影響を受けているという子供がいるのであれば、各学校の判断で対応して頂きたいと思います。
 (感想)学校内の電磁波問題を勉強し、総務省に働きかけるなどの対応はしてほしいところです。各学校に対応を丸投げするのは無責任な気がします。

「要望6.学校のICT化について、電磁波の発生する機器の取り扱い注意喚起を行って頂きますよう要望します。電磁波過敏症の児童・生徒が在学している場合は、その教育を受ける権利を保証するため、学校内の電磁波被害について特段の配慮をするよう各都道府県教育委員会等の関係機関に通知、指導してください。(例:情報端末を使用していない際には電源オフを推奨する。通信ケーブルは電磁波が漏出しないようカバーする。全教室の電磁波測定をする等)。」
 (回答)上記5と同じ回答でございます。
 (感想)学校内の電磁波問題を勉強し、総務省に働きかけるなどの対応はしてほしいところです。今回の話し合いを契機に、電磁波問題への認識を深める他省庁と連携をして子供たちの電磁波問題についての調査、対策が望まれます。


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