インド最高裁 携帯基地局、がんの原因と認める

 インド最高裁が、携帯電話基地局からの電磁波でがんになったとの男性の主張を認め、基地局の操業停止を命じる判決を出したと、インドのITメディア『Trak.in』が4月12日付で報じました。原題はMan Claims Cell Tower Caused Cancer; Supreme Court Orders Removal Of That Cell Tower【訳・網代太郎】


携帯電話基地局ががんを引き起こしたと男性が主張、最高裁がその基地局の撤去を命じる
モーフル・ゴーシュ(Mohul Ghosh)

 最高裁判所はパンドラの箱を開くことができる画期的な判決で、マディヤ・プラデーシュ州グワリエルの携帯電話中継基地局タワーの撤去を命じた。 ある男性が携帯電話タワーからの放射線が彼のがんを引き起こしたと主張して、この命令が出された。
 携帯基地局タワーの設置とそれによる放射線に対抗する命令は、このケースの前には、この国のどこにもなかったので、これはインド通信業界にとって重大な分岐点だ。
 しかしながら、携帯基地局タワーからの増え続ける放射線に対抗するいくつかのケースはあった。そしてケースが大きくなるたびに、TRAI[インド電気通信規制庁]は携帯基地局タワーの設置に責任がある通信事業者に罰金を課していた。
 しかし今は、ものごとが大いに変わることがある。携帯基地局からの放射線に関して、携帯基地局ががんを引き起こすという主張を認めた最高裁判所の判決が出たので、インド全土にさらにそのようなケースが出てくる可能性がある。

携帯基地局タワーからの放射線に関する最高裁の判決
 このケースでは、 グワリエルのダール・バザール地区のプラカシュ・シャルマの家で家庭のヘルパーとして働く ティワリ(Harish Chand Tiwari) という男が隣人の家に設置された「違法な」BSNL[Bharat Sanchar Nigam Ltd. インドの政府系大手通信事業者]携帯基地局タワーが彼にがんをもたらしたと最高裁判所で主張した。
 ティワリの代理人だったシャルマ(Nivedita Sharma)は住居から50m以内に設置されたBSNLタワーががんの一形態である「ホジキンリンパ腫」を引き起こしたと訴えの中で述べた。そして、このがんは、2002年以来、放射線への週7日・1日24時間の継続的かつ長期の曝露に起因するものであったと主張した。
 判事ゴゴイ(Ranjan Gogoi)とシンハ(Navin Sinha)による法廷は「われわれは特定の携帯基地局タワーが今日から7日間以内にBSNLによって稼働を停止されるべきであると命じる」と述べた。
 このようにして、このタワーは放射線によるがんのために閉鎖される最初の携帯基地局タワーになった。

しかし電気通信庁はこの論理を信じていない
 インド政府は2015年に、「携帯基地局タワーが電磁波(EMF)の制限値を超えた」ことにより多数の電気通信事業者に国が合計1億0800万ルピーの罰金を請求したと発表した。
 しかし、携帯基地局タワーからの放射線の有害な影響について疑義が生じた際、インド電気通信庁は明確に否定している。彼らの検証によれば、携帯基地局タワーからの放射線が限界を下回っている限り、人間や動物には害はない。
 アラハバード高等裁判所への答弁書で、インド電気通信庁はこう主張していた:「これまでのところ、携帯電話からのEMF放射線の健康上の悪影響について決定的な証拠が世界保健機構(WHO)によって見いだされなかった。携帯基地局タワーの近辺のEMFの強さのレベルが規定された制限を下回っている限り、 近くで生活している人間の熱効果による健康悪化が懸念されるべきではない」。この答弁書は2014年に政府によって提出された。
 しかし、今回の最高裁判決により、携帯基地局タワーからの放射線とその有害な影響について、より多くの研究と意識を生み出す必要があると思われる。

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