○○○ハイツのみなさまへ

○○○号室・山川三郎(仮名) (電話 ○○○○―○○○○)

 首都圏の分譲マンション基地局問題で住民が撒いたチラシを会報前号でご紹介いたしましたが、このマンションで、基地局設置中止が決まりました。このマンションの住民が撒いたチラシ二つを、今号もご紹介いたします。【大久保貞利】

 皆様、こんにちは。暑さ寒さも彼岸まで、といいますが、めっきり過ごしやすい季節になりました。皆様におかれましてはご健勝のことと存じます。

古い建築物に後から1.5トンの基地局を載せる問題
 当ハイツは昭和00年(19xx年)に完成しました。昭和53年(1978年)に起こった宮城沖地震でそれまでの耐震基準が見直され、昭和56年(1981年)の建築基準法改正で、より厳しい耐震基準が導入されました。したがって、当ハイツは旧耐震基準により設計された建築物です。
 新しく屋上に設置予定の携帯電話中継基地局は、提案資料によりますと総重量約1.5トン(1547kg)です。当初設計された段階では給水塔等の施設は想定されていたでしょうが、こんなに重いものが後から屋上に置かれるとは設計者は考えていなかったはずです。
 たしかに基地局設置は建築基準法基準内なのでしょうが、地震多発国の日本で設計時に予定されていなかったものが、後から設置されることがいいわけないのは明らかではないでしょうか。千葉県P市であった例ですが、マンション屋上に基地局を載せてもOKだという「証明書」を建築事務所が発行しました。だが不安に感じた居住者が調べたら、その建築事務所は携帯会社と懇意にしている業者でした。そこで、その居住者はそのマンションを設計した一級建築士に相談したら「たしかに基準法には違反しないが、設計者としてはそうしたこと(後から重いものを載せること)は好ましいことと思わないし、できれば避けていただきたい」と答えました。結局、その一級建築士の発言が決め手となり、そのマンションに基地局は設置されないことになりました。

台風で屋上基地局が倒壊した事例があります
 2004年9月6日、沖縄を「大型で非常に強い台風18号」が襲いました。この台風により、沖縄県南春風原町のビル屋上に建っていたアンテナ基地局が倒壊しました。その模様は琉球朝日放送のテレビ報道番組で報じられましたし、9月6日付『読売新聞』でも写真入り記事になりました。台風でこの有様です。もし直下型大地震が起こったらどうなるでしょうか。とても心配です。

基地局電源装置から低周波磁場が出ます
 基地局は、基礎架台・支柱柱・無線機・アンテナ・電源装置等から成っています。強力なマイクロ波(高周波)をアンテナから発射させるために、電源装置に何千ワット、何万ワットの電源が使われるため、基地局から低周波磁場が出ます。この低周波磁場はそんなに遠くまでは届きませんが、コンクリートも通過します。最上階の部屋が心配されます。またマンション建物の外側に電源装置まで電気を送る太い配線が新しく設置されます。その配線が設置される部分の内側の部屋も低周波磁場を浴びます。

大切なマンションの資産価値を下落させないために
 日本ではまだ電磁波問題が国民に知られていないため、基地局が設置されたマンションの資産価値下落は報じられていませんが、日本でも遠からず資産価値下落問題が深刻化すると予想されます。2007年に欧州連合(EU)が実施した「ユーロ公式意識調査」では、欧州人の3人に2人が「携帯電話基地局は健康に影響する」との回答結果でした。そうした意識が高い欧州では、基地局のあるマンションの資産価値が下がり、固定資産税が下がります。
 2011年5月にWHO(世界保健機関)のIARC(国際がん研究機関)が「高周波電磁波は2B(発がん可能性あり)」と評価しました。日本人が電磁波問題を知るにつけ、今後資産価値下落問題は当然起こってくると思われます。

基地局問題は一人ひとりの問題です
 9月13日、日本弁護士連合会(日弁連)が「電磁波問題に関する意見書」をまとめ、関係大臣に提出しました。意見書は日弁連のウェブサイトで見ることができます。日弁連が意見書をまとめた背景には「基地局問題で弁護士への相談が増えている」ことがあります。宮崎県延岡市では28名の弁護士団が結成され「基地局撤去訴訟」が争われています。
 当ハイツの基地局問題はみんなの問題です。理事会だけに預けるのではなく、一人ひとりが考え、よりよい解決を模索する必票があるのではないでしょうか。
(何軒かの人から、チラシに賛同するご意見をいただいています。もちろん批判的なご意見もいただいています。どうぞお気軽にお電話ください)

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