すずかけ台駅変電所建設計画白紙撤回に

東急電鉄相手に一歩も引かず、闘いぬいた住民たちの完全勝利

6月2日に計画中止連絡、だが…
 東京急行電鉄の代理人(弁護士)から「本件計画(変電所建設計画)を取りやめ」る文書が届いたのは6月2日でした。建設計画が中止になったのは住民たちの運動の成果であることは明らかなはずです。ところが文書の中で東急は、「(すずかけ台駅以外の場所で)電力をバッテリーに貯蔵するシステムを新設する」ので中止したとのである、と言い訳しています。
 どういうシステムかというと「電車がブレ-キをかけた際に発生する電力をバッテリ-にたくわえ、それを走行する電車の供給するもの」であり、「バッテリーに貯蔵された電力を送り、電車の安定運行を支援するシステム」とのことです。だから「電力の有効活用を図るという環境に配慮したもの」だというのです。
 こんな不真面目ないいわけはありません。すずかけ台駅に変電所をつくるのは「総合的に判断した結果」と言っていたのは東急自身です。こんな“環境に配慮した”システムがあったのなら、初めからそれを採用すればいい話です。

住民たちは慎重に対応した
 すずかけ台駅変電所がとりあえず中止なったことは喜ばしいことですが、「地域の建築協約を守る由縁はない」と発言したことを撤回するのかしないのか、「今回は中止したが、将来にわたっての保障はあるのか」、さらに「工事途中の跡地はどうするのか」等々の問題が残っています。住民たちは、そうした問題が解決されるまでは警戒心を解きませんでした。

そして、ついに白紙撤回文書来る
 そして、ついに6月23日、東京急行電鉄鉄道事業本部長名で「今後すずかけ台駅におきまして変電所あるいはそれに類する施設を建設することはいたしません」と文書で明言しました。
 マンション(コスモフォーラムすずかけ台駅前)管理組合理事長らは東急電鉄と直接交渉していますが、これまでに確認がとれているのは以下の点です。
 (1)東急が交渉時に表明していた「地域の建築協約を守る由縁はない」との趣旨の考え方は撤回し、協約は尊重する。
 (2)すずかけ台駅構内に今後、変電所あるいはそれに類する施設、及び住民に不安を与える施設は建設しない。

 工事途中の跡地については、6月5日に撤去作業が行なわれました。

画期的勝利をもたらした力は何か
 今回、東急電鉄を相手に、住民たちは「白紙撤回」を掲げ、一歩も妥協せず闘い、所期の目的を貫徹しました。回答も文書回答であり、変電所建設反対運動としては画期的な全面勝利です。
 勝利をもたらしたのは、第一に、東急すずかけ台変電所対策協議会代表を中心に住民側が団結していたことです。
 第二の勝因は、住民側に明確な戦略と具体的な戦術があったことです。明確な戦略とは、理不尽な東急のみを当面の“敵”と位置付け、幅広い陣営を味方につけて、堂々と戦う路線を堅持したことです。戦術としては専門家、市議会、周辺住民団体、マスコミに対し積極的に働きかけ、適時講演報告会の開催やビラまき、東急との交渉等々を精力的に展開しました。
 第三に、「会社法の駆使」というユニ-クな戦術を採用したことです。東急グループのコンプライアンスと今回の変電所計画がいかに乖離しているか、を鋭く衝く方法は、全国の今後の取り組みに参考になる貴重な経験です。
 当研究会はすずかけ台問題を全面的に支援してきました。喜びを分かち合うとともに、心から住民の皆様に敬意を表します。【大久保貞利】
 

 

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