京都のXバンドレーダー 停波拒否でドクターヘリ遅れる

京都新聞のウェブサイトより

 京都府伊根町で5月15日に起きた交通事故の負傷者をドクターヘリで搬送するため、同府京丹後市の米軍経ケ岬通信所に配備されているミサイル防衛用「Xバンドレーダー」からの電波の送信停止を要請したところ、米軍がこれに応じなかったために搬送が17分遅れたと、京都府が6月1日に発表しました。負傷者の命に別条はなかったとのことですが、「軍隊は住民を守らない」という沖縄戦の教訓を思い出させるような出来事です。
 各メディア[1]の報道によると、負傷した70代男性を搬送するため、地元消防本部はドクターヘリの出動拠点となっている公立豊岡病院(兵庫県豊岡市)にドクターヘリを要請しました。ヘリは3分後には離陸し、救急車との合流地点とした米軍基地の東側にある京丹後市の経ケ岬灯台下の駐車場に向かいました。ヘリがそこへ到着するにはXバンドレーダーの強力な電磁波が流れる「飛行制限区域」を通らなければならないため、消防本部は米軍に停波を要請。5分後、米軍は「停波承認」と回答しましたが、その7分後に「停波不能」と変更されました。その時すでにドクターヘリは「飛行制限区域」に入っていました。

医師、看護師、操縦士が電磁波被曝
 「停波不能」の連絡を受けたドクターヘリは、急きょ旋回して飛行制限区域を離れ、4km離れた自衛隊経ケ岬分屯基地内のヘリポートを新たな合流地点に設定。その結果、人命救助は17分間遅れ、ヘリや搭乗していた医師、看護師、操縦士らはレーダーの強力な電磁波に曝露されてしまいました。
 「飛行制限区域」は米軍通信所の海側の半径、高度とも6kmの半円柱状の空域での日本の航空機やヘリの飛行を禁じたものです。電磁波によって人体やコンピューターなどの機器類に影響が及ぶ危険性があり、ドクターヘリや海難事故などで航空機の運航が必要な場合は、消防機関などが米軍に停波を要請することが認められてはいます。レーダーの配備を認めた京都府は「要請すれば速やかに米側は停波する」と説明していましたが、米軍との間の合意内容そのものは明らかにされていません。

以前の2回の停波拒否公表されず
 米軍が停波を拒否した理由について、防衛省は「言葉の問題でコミュニケーションがうまく取れなかった」と説明しましたが、詳しい事情は公表されていません。また、同通信所の運用が始まった2014年12月以降、停波を拒否されたのはこの件で3回目であり、以前の2回は停波拒否があった事実そのものが公表されていませんでした。【網代】

[1]「レーダー停波要請に米軍「NO」 ドクターヘリ、搬送17分遅れ」2018年6月1日産経新聞
    「米軍経ケ岬通信所レーダー不停波問題 搬送遅れで検証会議 来月2日、豊岡病院で」2018年6月30日毎日新聞
    「京都Xバンドレーダー 停波要請に米軍が応じず ドクターヘリ搬送17分遅れる」2018年7月3日長周新聞

 

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