追悼 ウィリアム・J・レイ博士

レイ博士

 ES(電磁波過敏症)とCS(化学物質過敏症)の研究と治療の第一人者であったウィリアム・J・レイ博士(写真)が昨年(2018年)逝去されました。レイ博士は「EHC-D」(Enviromental Health CenterーDallas =直訳でダラス環境健康センター、意訳するとダラス環境医学研究治療センター)の元院長です。レイ博士は「EHC-D」を1974年、つまり今から45年前に設立しました。当時はESもCSも知られてなく、まさに先駆者でした。
 レイ博士は元々は外科医でした。ケネディ大統領がテキサス州ダラスで暗殺された時、彼は同じオープンカーに乗っていて撃たれたコナリー・テキサス州知事の銃弾摘出手術チームの一人でした(ケネディは即死でした)。レイ博士は外科という分野だけでは治せないことを感じ、「医学は病気の身体部位だけでなく、その患者を取り巻く環境も含めて考えなければ治せない」ということに気づき、EHC-D設立に至りました。
 私がダラスのEHC-Dでレイ博士に会ったのは、今から16年前の2003年11月23日でした。その前日がケネディ大統領暗殺の丁度40周年目で暗殺現場付近は異様な雰囲気でした。感謝祭休暇の直前の時期でもありました。日本から来た男をレイ博士は歓待し、取材の最終日には全医師・専門スタッフを集め、私に質問タイムを設けてくれました。私が日本でいくつも携帯電話基地局を中止に追い込んできたことを話したら、「なかなかすごいじゃないか」と参加者全員が大きな拍手をしてくれて、こちらが恐縮したのを昨日のように覚えています。拙著『電磁波過敏症』(緑風出版)でEHC-Dを取材した内容は書きました。
 レイ博士は北里研究所病院の北里研究所病院の環境環境医学センターにも大きな影響を与えた人です。レイ博士の治療方針は、「人は一人一人皆違う。ある人の病気の原因や症状は他の人と異なっている。だからその患者の特徴点を情報として蓄積し、その患者に合った治療計画を作成し治療に当たらなければならない。場合によっては患者の生活環境や職場環境まで含めて把握しないといけないケースもある。病気を治すのは患者自身で、医者は適切な情報を患者に伝え、患者を援助する役目である。」というものです。だから一人の患者に1時間位当たるのもざらです、日本の大病院のような「3時間待ちの3分診療」と正反対に位置しています。既成の医療概念にとらわれず、東洋医学の鍼灸や気功も必要なら取入れる柔軟さです。しかしあくまでベースは西洋医学です。
 ES・CSの研究と治療に専念されたレイ博士に心より哀悼の意を表します。【大久保貞利】

 

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