楽天、衛星と直接通信する 携帯電話網の構築を目指すと表明 実現すれば地球上のあらゆる場所に携帯電波が

 楽天は3月3日、人工衛星を基地局のようにして、スマートフォンと直接通信させる携帯電話網を構築する事業に参入することを明らかにしました。衛星によるモバイル通信を目指している米国のベンチャー企業AST & Science社に対して、英国の通信事業者ボーダフォンとの共同で1億1000万ドルを出資し、楽天がAST & Science社に対する最大の出資者となるとのことです。
 AST & Scienceが計画する衛星モバイル通信は「Space Mobile」と呼ばれています。高度500~700kmの低軌道に多数の通信衛星を打ち上げて衛星コンステレーション(会報前号参照)を形成します。通常の携帯電話と同じ周波数帯の電波を使うので、普段の端末をそのまま使えるとのことです。この計画が実現すると、衛星とスマートフォンのみで4G(将来的には5G)通信を実現する世界初の企業となるのだそうです。
 楽天モバイルのネットワーク本部副本部長兼技術戦略部長の内田信行氏によれば、主に楽天モバイルの地上基地局がないエリアをカバーすることが想定されています[1]。内田氏は「災害発生時、移動局は用意するものの、道がふさがれることもある。まだ他社のような船舶基地局もないため、そうしたときの手段になる」と述べています。また、大都市エリアについては衛星通信は普段、利用せず、地方など楽天の地上基地局がない所で衛星が利用できる、といった想定なのだそうです。
 衛星からの電波はビームフォーミングで送信するので地上基地局などとの干渉は抑えられる見込みですが、それでも干渉は発生する可能性があります。その場合は通信の時分割を行い、地上基地局からの電波と衛星からの電波を、ごく短い時間で切り替える方法が考えられているそうです。
 実用化にあたっては法制度の調整が必要で、楽天側から総務省へ相談をしているそうです。
 技術的なハードルも高いとみられ、具体的な開始時期などは明らかにされていませんが、実現すると、地上基地局からの電波に衛星からの電波が加わることで電波の総被曝量が増えることから、健康影響への懸念がさらに高まります。また、携帯電波が届かない場所が地球上からなくなり、電磁波過敏症の方々はいよいよ逃げ場がなくなってしまいます。さらに、大気圏の中を常時、多数のビームが通過する状況となり、野生動物など地球環境への影響も懸念されます。【網代太郎】

[1]「楽天モバイルが手を組むAST社の衛星通信「SpaceMobile」、その実力は」ケータイWatch 3月4日

 

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