相模原で集会 大鹿村のリニア・ファシズムなど報告

村内で印刷できなくなったミニコミ誌『越路』

 3月29日(日)、世間は新型コロナウイルス対策で忙殺され、神奈川県の黒岩知事も「週末の不要不急の外出の自粛」を要請し、加えて午前中から雪が降り続くという悪条件の中、神奈川県立相模湖交流センターにて、リニア新幹線を考える相模原連絡会の主催で「リニア残土 言論弾圧 長野・大鹿村で起きていること」を開催した。大鹿村の前島久美さんを相模原市にお招きするのは、これで3回目となる。
 果たしてどれだけの人に来て頂けるのか、対策はどうするのかといったことに頭を悩ませたが、主催者としてはきちんと対策をした場を提供し、それに参加するかどうかは各人の判断に委ねるという判断で、マスク・消毒用アルコールを用意し、休憩時間に換気を実施することを事前に告知した。その結果、20人の参加となったが、「行きたかったが行けなかった」という声をあちこちから耳にした。それぞれの判断があり、それは尊重をしたい。

環境省の指示を無視
 さて、冒頭に前島さんから「リニアファシズムの谷」と銘打ち、2016年に着工式が行われた大鹿村内での工事の現状や、村による言論弾圧事件について報告された。要点のみ紹介する。
 工事の現状について。2017年7月より南アルプストンネルの非常口の掘削が始まる。現在、村内の残土置き場は4ヶ所が終了し、予定の3ヶ所中2ヶ所が運用されている。残土が置かれている大西グラウンドについては、「整地のために残土を使った」と理由づけているそうである。また、南北朝時代から続く釜沢という集落にも残土置き場が出来てしまっている。環境省から「住民から見える場所には残土は置かないこと」と言われているにも関わらず、JR東海はそれを無視している。

間もなく始まる送電線工事が心配
 2020年より伊那山地送電線工事が開始されるが、村内の青木地区で肉牛を飼っている村民からは、「鉄塔工事が肉牛にストレスとならないか。青木川の水質の悪化や減水が心配だ」という声が上がっている。

リニア反対の書籍が村施設から撤去
 次に言論弾圧について。2019年4月、「村に反対するものを印刷させるのはどうか」という指摘が入り、印刷機の一般貸し出しを取りやめる。これにより、大鹿の十年先を変える会の機関誌「越路」が村内で印刷出来なくなる。6月議会に陳状を出すが、不採択となる。
 10月には、村内の郷土民俗資料館であるろくべん館にある販売コーナーで、「南アルプスの未来にリニアはいらない」(宗像充著 大鹿の十年先を変える会発行)が、大鹿村教育委員会の指示によって、6月の段階で販売コーナーごと撤去されていたことが発覚する。6月13日、JR東海大鹿分室の太田垣室長がろくべん館に、「今後ツアーも来るのに、こういうの置いておくのはまずいでしょう」と難色を示して撤去を促し、大鹿村の島崎教育長が撤去を指示したというのが経緯である。しかも、撤去したことを4ヶ月もの間、著者に知らせていなかったという。

村が個人の土地を「勝手に貸す」契約
 最後に、前島さんも当事者である迂回ルート紛争について。大鹿村市場地区は1日に多い時で300台もの工事用車両が通行しており、川の対岸を通る迂回ルートを村の教育関係者が提案。その土地の地権者の1軒が前島宅である。
 2016年10月に、村とJR東海は工事車両用通行等に関する確認書を結んだ。この確認書は、地権者の預かり知らないところで作成されたものであり、いわば村が所有者の承諾を得ずに、他人物賃貸借の貸主となったようなものである。村に謝罪を求めたが無視され、JR東海の姿勢は「地権者提案のルールには従わないが土地は貸して欲しい」といった非常識なものだった。
 その後、交渉を続けてきたが、2019年9月30日付けで賃貸借契約を結ぶことになる。最大の獲得目標であった、土日の休工や走行車両台数の削減については満足のいく内容とはなっていないが、環境保全策の具体化や協議条項を盛ることは出来た。環境保全策の実施について、不都合が生じた場合には協議の上、修正・変更をすることができるという条項もあるので、今後も不都合が生じた場合には、環境負荷軽減のための申し入れ、交渉を行っていきたいという。

採石跡地に盛り土して非常口を設置
 質疑応答を経て、相模原市内からの報告である。私も住む藤野(現緑区。合併前の藤野町の便宜的な呼称)では、道志川沿いの藤野トンネル区間の非常口を2ヶ所設けることになっており、そのうちの牧馬非常口については会報104号で取り上げたことがある。この牧馬非常口と大羽根非常口を、それぞれ近くの採石場に場所を変更することが最近明らかになったと報告された。
 その最大の問題点として、残土処分の責任をJR東海が負わずに、採石事業者に丸投げにしてしまっていることが上げられる。2019年秋の台風19号で、藤野でも土砂崩れが多数起きて死者も出るなど大変な事態だったが、採石跡地への残土の盛り土が果たして安全なのか? 多いに疑問であることが指摘された。

残土を利用した大規模牧場計画
 また、緑区長竹の志田峠付近には、100万m3、高さ50mもの膨大な残土を盛土して、250頭の牛を飼育する津久井農場を作るという計画が発覚したことが報告された。この計画はまだ不明な点が多いが、どこの残土を持ってくるのかという点が明らかではない。恐らくリニア中央新幹線の神奈川県駅予定地である緑区橋本の工事現場ではないかと推測されている。
 既に当初計画より3年は遅れているというリニア中央新幹線関連工事だが、どこかで中止に追い込まないと、問題はどんどん広がるばかりであることを痛感した集会だった。今回の参加人数は、少なかったが、何とかやりきることが出来て、正直ほっとしている。
 今から振り返ると、あの時点での開催はぎりぎりだったと言える。まだまだ大変な状態が続くだろうが、リニアも含めて日本社会の抱えている問題が顕在化してきているようにも思える。困難な中でも問いかけを続けていきたい。【渡邊幸之助】

 

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