5Gスマートフォンに替えたがそれほどメリットを感じない

鮎川哲也(電磁波研事務局)

 大型連休前にスマートフォンを4Gから5G対応のものに替えた。5Gを使いたくてそうしたのではなく、今のスマホの多くが5G対応なので自然とそうなった。以来約1カ月使った5Gスマホや通信環境の変化などを紹介しよう。
 結論から言うと、ほとんど変わっていない。というのも、映画をスマホで見ることもないし、大量のデータをダウンロードすることもないからだ。さらに、コロナ禍で仕事はほとんど在宅のためインターネットを使う場合はパソコンを使うからだ。
 スマホを使うのは外出時に何かちょっと調べる時やメールの確認をするくらいで、そもそもスマホをメインで使っていないこともある。東京の街の中ではあちこちにWi-Fiが飛び、パソコンを持ち歩けばそれらに接続することができるので、わざわざ小さな画面で見る必要がないからだ。
 とはいえ、5Gをどんなことで感じるかというと、今どの電波を受けているかスマホ画面を見ると「5G」が表示されることが非常に多くなった。感覚でいうと4Gが2割で5Gが8割くらいだ。また、5Gの電波を受けているところでスマホを操作すると、確かに画面表示が速い。ただ、それでよかったと感じることはほとんどなかった。
 連休中で実家に帰ったが、そこでは逆にほとんどの地で4Gの電波を受信し、5Gの電波はあまり受信していなかった。それで不便を感じたこともなかった。
 では、みんなスマホで何を見ているのかを、盗み見や失礼にならない程度に見ていると、動画を見ている人がかなり多い。TikTokなのか、Netflixなのか、電車の中で見入っている。でも、これも4Gが中心だった時期と比較してもあまり変わりがないような気もする。
 今年2月、ソフトバンク社長の宮川潤一氏は「スマートフォンのサービスは4Gと5Gで大きな差異は正直ない」と話していた。

ITmedia 2022年5月12日付より

 5Gのメリットを数々あげて推進してきた携帯電話会社であるが、そのメリットは多くのスマホユーザー同様、携帯電話会社もほとんど感じていないことのようだ。機種変更で5Gにする際、店員さんは「5Gは通信は速くなりますが、Wi-Fiがあるならそれを使うでしょうから、それほどあまりメリットが感じられないかもしれませんね」とも話していた。
 4月28日、岸田文雄首相は「新しい資本主義実現会議」を開き、同政権の看板政策とされる「デジタル田園都市国家構想」の実現に向けた通信インフラの整備促進を議論した。岸田首相は、5Gの人口カバー率を2030年度末に99%へ引き上げることを「必達目標」と表明した。20年度末の5Gの人口カバー率は30%台のようだ。
 日本はコロナ禍でデジタルに関して遅れていることが露呈した。それはデジタル技術の遅れではなく、何をどう使うか、そしてどう生かすかが出来ていなかったからではないか。それほど最新の技術がなくてもできることはあったはずだが、私たち国民(ユーザー)が求めるものを無視して、どこかがやりたいことだけを優先して、デジタル化では気がついたら世界から置いてけぼりなっていた。

設備(5G)より、内容の充実を
 例えば「高速道路を片側5車線に広げ、交通渋滞を減らせます」と言ってもそこに走るクルマ性能や何を運ぶかを考えないと、道路は何の役にも立たない。さらに何のために道路を広げるのかを先に考えるべきではないか。
 そういえば、「COCOA―新型コロナウイルス接触確認アプリ」を覚えているだろうか。筆者も早々にアプリを入れたが、昨日久しぶりに見たら「利用開始から647日」「陽性者との接触は確認されませんでした」とある。
 鳴り物入りでスタートしたが、アプリの配布当初は不具合の連続でさんざんだったが、最近どう評価されているのかをネットでの口コミで見てみた。そうしたら評価は変わらなかった。「不具合が相変わらず多い」「陽性者との接触通知が来ても、接触があった件数と日付だけで、それ以上の情報がまったくない」「せめて時刻さえ出れば『通勤時間中の電車かな』『職場かな』など見当を付けることができるのに」などの不満がほとんどで、「アンイストール(削除)します」というものも多くあった。 
 コンテンツを開発するには5Gの通信環境など必要がないもので、設備にコストをかけるのではなく、コンテンツ(内容物)の充実を図るべきだと常に思う。ただCOCOAにも膨大なコストがかけられて、あのありさまだ。
 5Gスマホを眺めつつ、高速大容量通信が可能だというインターネットのページを見ながら、何を高速大容量通信すればいいのかを考え、日本の先行きを少し不安に感じた。

 

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