10代以下の「デジタル認知症」、韓国で年200人

 韓国で中学生がデジタル機器の使い過ぎで認知症になっているらしいというお話を会員の方からうかがい、検索してみたところ、韓国では年間約200人の10代の若者が認知症を発症しているという韓国語の記事がありました[1]。国民健康保険公団から提出された資料によると2015年から5年間で10代以下の認知症患者が944人発生し、2020年1~6月は114人だったと、この記事には書かれています。日本語の記事も、「デジタル認知症」「スマホ認知症」という言葉で検索するとたくさん見つかります。しかし、10代の認知症についての国内の統計は、ほとんど見つかりませんでした。
 韓国は2013年時点でワイヤレス・ブロードバンドの普及が100人中104.2人と世界最高であったそうです[3]。韓国で世界でもっとも早くデジタルライフが普及したことが、この問題を発生させていると、韓国内でみられているようです。
 韓国のヘルスケア企業のウェブサイト[2]によると、韓国では、アルツハイマー病ではないが物忘れを訴える青年が増えていて、ヤング+アルツハイマーをつなげた「ヨンツハイマー」という造語まで登場しているとのことです。検索して簡単に得られる情報の処理に脳が追いつかないことなどが原因だと指摘しています。

過剰な情報で脳がパンク
 ネットで検索して見つけた複数の記事による説明をまとめると、デジタル認知症は、おおよそ以下の通りです。

  • 記憶力・集中力の低下や注意力の散漫、言語障害など、認知症と同じような症状
  • 発症者は若者に多い
  • 「スマホ認知症」とも呼ばれている
  • ネットからの過剰な情報収集により、脳の「前頭前野」(記憶など人間にとって重要な働きを担っている)が処理しきれなくなって疲弊し、新たな情報を取り込む機能や情報を思い出す機能が低下することで発症すると考えられている
  • 「アルツハイマー型認知症」「レビー小体型認知症」「脳血管性認知症」などとは異なり、特定の疾患としては認められていない
  • スマホの使用を減らすなど脳を休めれば改善する
  • しかし、デジタル認知症の人の10~15%が、若年性認知症(65歳未満で発症する、デジタル認知症ではない認知症)へ移行してしまう[3]

日本の青少年は?
 厚生労働省は2009年に若年性認知症の実態調査結果を発表しています[4]。この調査の対象は18歳以上であり、中高生以下の世代はほぼ対象外でした。18~19歳の推定患者数は約20人でした。2009年は、まだスマホは普及していませんでした(日本でiPhoneが発売されたのは2008年)。
 10代の青少年がどのくらい影響を受けているのか、日本でも、本格的に調べたほうが良いのではないでしょうか。【網代太郎】

[1]聯合ニュース2021年2月12日 미성년 치매환자 연 200명 육박…”디지털 기기 과용 탓”
[2]HiDoc2021年12月13日 왜 청년들의 기억력은 점점 퇴보하는가 ① 디지털치매
[3]韓国中央日報2013年6月23日 ‘Digital dementia’ is on the rise
[4]厚生労働書「若年性認知症の実態等に関する調査結果の概要及び厚生労働省の若年性認知症対策について」2019年3月19日

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