神奈川県大磯町の自宅のすぐ脇に携帯電話基地局を設置されてから、娘と自身が深刻な体調不良に陥った村越史子さん(会報第140号など参照)ら「大磯アンテナの会」が、基地局周辺の住民にアンケート調査を行いました。住民からは、基地局への不安や、自分たちの意向に関係なく基地局が設置されてしまうことへの疑問の声も聞かれました。
村越さんは、自分たちのような被害者がこれ以上増えないよう、町や町議への働きかけなど様々な活動をしています。その一環として、基地局問題について知らない住民にも知ってもらおうと、アンケートを行いました。また、住民の居住環境を守るために、本来であれば行政などが基地局周辺で疫学調査を行うべきですが、現在の行政がそれを行わないため、自分たちが試験的に行うことにした、とも同会は説明しています。
アンケートは1月17~24日、大磯町西小磯にある楽天基地局周辺の住民を対象に行い、31名から回答を得ました。
最近の体調不良を訴えた方々は18名で、症状の訴えは延べ54件。多かった症状は「耳鳴りがある、耳の聞こえ方がおかしい」と「筋肉や関節が痛む」が7件ずつ、「眠れない、眠りが浅い」「頭が痛い、思い、めまいがする」が6件ずつでした。
同会からいただいたデータを筆者(網代)が集計したところ、基地局稼働前から住んでいる30名のうち、17名が「稼働後に健康状態が悪くなった」と回答。基地局からの距離別では、基地局から200~500mの住民の4名中4名、200m以内の住民23名中12名、500m以遠は3名中1名が、「稼働後に健康状態が悪くなった」と回答しました。もちろん、この結果だけから基地局の影響とは断言できませんが、それでも「稼働後に健康状態が悪くなった」と訴える住民の多さが際立ちます。
「子どものためにも撤去を」
アンケートに記載された意見には「町が出産子育てに真剣に取り組もうというなら電磁波の影響についても速やかに取り組むべきだ」(60代女性)、「自分の健康面への影響は今のところありませんが、電磁波による人体への影響を考慮し設置場所を変えてもらいたい」(40代男性)、「体への影響は感じていませんが、小さな子ども達もいますので、できれば撤去されることを願っています」(30代女性)、「土地の所有者の一存だけで住宅地に基地局が建てられてしまう日本(大磯)の基準の低さがとても残念です」(40代女性)といったものがありました。【網代太郎】