岩丸正男さん(会員、過敏症発症者)
電磁波問題市民研究会は、過敏症発症者の会員、岩丸さんからの問題提起を受け、岩丸さんらとご相談の結果、当会に「過敏症ユニット」(仮称)を設けることを目指すことにいたしました。当会の活動の充実を目指し、これまでの事務局中心の運営態勢から、より柔軟で幅広い運動を目指すものです。ユニットが実現すれば、ユニットのメンバーが主体的に活動し、事務局はユニットとコミュニケーションを取りながら可能な範囲でサポートします。ユニットはもちろん、当会会報等も利用して情報発信等をします。このユニットについて、岩丸さんからご提案いただきます。ご関心がある方は、事務局までご連絡ください。【会報編集担当】
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私は横浜市に住んでいます。平成14年5月、マンションの最上階(6階)に住んでいた時、その真上に携帯基地局が設置され、その設備からの電磁波をきっかけに電磁波過敏症となりました。現在は家電や電気設備からの低周波電磁波に反応します。 また、一昨年、隣家の改装工事をきっかけに化学物質過敏症にもなり、診断を受けました。
平成14年11月には、「電磁波過敏症」の診断書を持って、当会事務局長の大久保さんと発症者5~6人とで、6省庁を回りました。ある省庁は、電磁波過敏症の実態調査をやると言ってくれましたが、今日に至るまで実施されていません。
また、「県民のいのちとくらしを守る共同行動委員会(神奈川)」を通して、何度か過敏症対策や予防策などを行政(神奈川県、横浜市)に申し入れてきましたが、真摯な対応はとってくれませんでした。
当会は、電磁波問題について幅広く取り組んでいますが、携帯電話基地局について特に力を入れている印象があります。大久保さんは、基地局問題が起こった全国各地で講演をしています。基地局計画を阻止したニュースも毎号のように掲載され、喜ばしいことです。
しかし、身近な基地局を解決できたら、それで終わりでしょうか? 基地局は目の前になくても、よそに建てられているのではないでしょうか。私たちの身の回りで電波の使用は増えています。電波だけでなく、殺虫剤などの化学物質、エコキュートなどの低周波音も、健康に影響を与える恐れがあります。基地局問題が終わってからも、電磁波、化学物質などの環境問題に引き続き注意をしなければ、がんや過敏症になって苦しむ結果になりかねません。
現に、私たち過敏症発症者は苦しんでいます。身の回りには、電磁波、化学物質、低周波音などがあふれています。隣で植え込みに殺虫剤をまかれたり、近所で突然リフォーム工事が始まります。診断書を見せて配慮をお願いしても、「そんな病気は気のせいだ」などと言われてしまいます。受動喫煙問題と同じで、電磁波や化学物質を使う人たちは、自覚のないまま、周囲の人に危害を与えている恐れがあるのです。
過敏症ユニットを作ろう
でも、もうグチを言っている場合ではありません。今こそ、過敏症発症者が行動しようではありませんか。過敏症を多くの方々に知ってもらい、過敏症発症者がもっと生活しやすい社会にするために、何ができるのか、発症者が自分たちで考えて、自分たちで行動しようではありませんか。
もちろん、症状がつらすぎてそれどころではない方は、まずご自分の症状軽減に専念してください。曝露されて症状が出ても、何とか自力で対処できる程度の発症者の方、または、発症者のご家族の方、そして、発症者ではないけれども、身近な携帯電話基地局問題の解決をきっかけに電磁波問題に取り組んでみたいとお考えの方、ぜひ一緒にやれればと思います。
最後に一言、環境難民となり多くを失っても、夢と希望だけは忘れないでください。