カナダの自治体が住民投票で携帯基地局設置を不支持


 カナダの新聞「ラングリータイムス」のウェブサイトに掲載された記事によると、カナダ・ブリティッシュコロンビア州メトロバンクーバーにある自治体「ラングリー地区(The Township of Langley)」の議会は2013年9月、携帯電話基地局を新たに設置しようとする業者は、基地局から半径500m以内の住民による投票で80%超の賛成を得る必要があるとする規制を作りました。
 ラングリー地区は人口約9万人、アメリカ国境に接する自治体です。基地局についての住民投票を義務づけた自治体は、メトロバンクーバーの中では同地区が初めてとのことですが、カナダ全体ではどうかについては、記事に記載がありませんでした。
 この規制が決められた後に初めて、携帯基地局の建設計画が申請されました。カナダの大手電気通信事業者「テラス」が、カバーエリアのギャップを埋めて通話の中断を減らすために必要だとして、高さ45mと高さ50mの計2基のタワーの建設を計画したのです。
 これら2基についての住民投票が行われ、高さ45mのものは10%弱、もう一つは7%弱の賛成しか得られませんでした。
 投票結果を受けて同地区の議会は昨年12月、これら2基の建設計画を支持しないことをカナダ産業省に通知することを賛成多数で議決しました。
 基地局建設を認めるかどうかの権限は自治体にはなく、カナダ産業省が権限を持っています。
 テラスの政府業務マネージャーであるチャド・マーラット氏は「たいていの人々は携帯タワーが家の近くにできることを望んでいないことは、当社も承知している。通常、近隣住民の10%しか携帯タワーを支持しない。地区にタワー計画を阻止する権限はないが、カナダ産業省は、おそらく地区の決定に従うだろう。ラングリーは州で2番目に携帯電話サービスへの苦情が多いが、所定の数を供給できなかった」などと述べたとのことです。
 ラングリー地区民は、便利さよりも、健康や安心を選んだようです。【網代太郎】
(参照)
ウィキペディア「ラングリー(地区)」
“New rules for cell towers” 2013年9月26日 The Langley Times
“First two cell towers rejected under new Langley Township policy” 2015年1月13日 The Langley Times

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