本当にリニアは必要なの? リニア中央新幹線計画説明会を聞いて

 9月20日(木)午後4時~6時半、東京都千代田区丸の内の「東商ホール」で、「(リニア)中央新幹線計画に関する説明会(東京都)」が開催されました。会場には400名の参加者がありましたが、約1時間にわたるJR東海の説明が終わった段階で、ぞろぞろ席を立ち帰る人が多くいました。つまり「リニアを心配して来た」というより、“企業動員”で参加した会社員が多いことがこれでわかります。原発説明会と同じで、こんな「動員型」の説明会をすること自体、主催側の自信のなさの裏返しに他なりません。

肝心なことは何も言わない説明会
 壇上には大型スクリーンが設置され、脇にJR東海の幹部がずらり7人並びました。まずはじめに、JR東海の推進副本部長が型通りのあいさつ。つぎに「東京所長」なる肩書の部長級の人が、「中央新幹線計画の説明」「超伝導リニアについて」「最近の状況について」を1時間にわたってレクチャーしました。最後に1時間半に及ぶ質疑応答、という日程でした。
 まずもって驚いたのは、仕掛けは物々しいのに、配られた資料はほんのちょっぴりだったことです。大型スクリーンで説明された内容の資料はなく、受付で「後でいいからもらえないか」と食い下がりましたが、「ありません」の答えしか返ってきませんでした。
 1時間のレクチャーにしても、1時間半の質疑応答にしても、たとえば「リニア列車内の磁場の値」とか「国民は本当にリニア鉄道を求めているのか」といった肝心な疑問には答えようとしません。拍子抜けの説明会でした。

アクセスの悪さとトンネルだらけ
 説明で疑問を感じたのは、東京―名古屋間を先行実施するといいますが、始発駅は東京駅ではなく「品川駅地下駅」なのです。東北新幹線や新潟新幹線で東京駅に着いて、名古屋方面に行きたい人は「東京―品川間」を在来線で乗り継がねばなりません。ましてや京都・大阪にまで行きたい人は、さらに名古屋で在来新幹線に乗り換えねばなりません。このアクセスの悪さは異常です。しかも中央新幹線は中央アルプスを横断するルートですから、在来線との接続が極端に悪いのです。こんなルートで集客は確保されるのでしょうか。
 さらに、山間部を通るためほとんどの区間が40メートル以上地下の「大深度トンネル走行」です。車窓の景色を楽しむ余裕はありません。今回は対象が東京都民だったためか、品川駅を出発して、東京都から川崎市に入り、もう一度東京都(町田市等)に入りますが、その間すべて「地上は走らず、トンネルだけ」。まるでモグラの列車です。

大震災を契機にますます必要なんだと
 「新幹線、そんなに急いでどこへ行く」という有名な川柳がありますが、東海道新幹線の他に「東京―名古屋―大阪」の大動脈を二重系化する必要が本当にあるのでしょうか。川崎沿線の住民アンケートでほとんどの人が「リニア鉄道の必要性を感じない」と答えたそうです。「東北大震災の教訓として、東海道新幹線がマヒしても別ルートがあれば助かるから」というのがJR東海の言う「二重系化」必要論拠です。しかしリニアが災害に強い、なんてことを真剣に考えている国民は何人いるのでしょうか。
 もし大深度トンネル内で災害でリニア列車が止まった場合、車いすの人や身体が不自由な人が安全に地上まで脱出できる保障はありません。リニアには少数の乗務員しか乗っていません。「乗客同士で助け合って欲しい」とJR東海は説明していましたが、深いトンネル内では不安が先行するでしょう。パニックをどう防ぐかで乗客は手一杯なはずです。新幹線なら地上を走っているから、まだしも、閉鎖的なトンネル内で「通常の助け合い」を求める神経に驚きます。

コスト計算がいい加減だ
 リニア中央新幹線は「東京―名古屋間」で5兆円、「東京―大阪間」で9兆円と見積られています。その全額を国費を一切もらわず、JR東海の自前資金で賄うとしています。これを1km当たりに換算すると200億円です。これには駅設置等費用も含めた金額です。しかし東京の地下鉄新線(池袋―渋谷)は1km当たり276億円でリニアより4割増しですし、つくばエクスプレスの「秋葉原―東京」は1km当たり500億円かかります。大深度地下で特殊なリニア方式を使う中央新幹線は、明らかに低い見積もり額です。

最大の問題点は電磁波問題
 リニア鉄道の最大の問題点は電磁波による健康影響です。超伝導リニア車内での乗客への影響、それ以上に乗務員や売り子の影響は深刻になるでしょう。ところが、資料では「線路脇4メートル地点」と「高架下8メートル地点」でICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)のガイドラインを6分の1下回っているから「安全」だというだけです。ICNIRPは刺激作用しかみておらず、その甘さが批判されている値です。一番肝心な列車内の値を出すべきです。【大久保貞利】

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