総務省・環境省と意見交換会 発症者らの声届ける

 携帯基地局問題や電磁波過敏症について、市民と、総務省・環境省との意見交換会が9月7日、憲政記念会館で行われました。今年4月に「電磁波から健康を守る全国連絡会」が開いた院内集会の後に、総務・厚生労働・環境各省と意見交換を行いましたが、やり方を改善しながら継続していく必要があるという、参加した市民の認識を前提として、前回の意見交換の場もセットしてくださった石毛鍈子衆院議員秘書でNPO「市民がつくる政策調査会」事務局長でもある小林幸治さんが、院内集会を企画した加藤やすこさん(VOC-電磁波対策研究会)、網代(全国連絡会共同代表世話人)に提案して、実現したものです。大河原雅子議員が進行をしてくださる予定でしたが、公務が入り小林さんが進行しました。
 この日は、総務省から電波環境課長ら4人、環境省から1人、市民約10人が参加。さらに、議員秘書4人(加藤学、大河原雅子、紙智子、櫻井充=途中退席)が参加しました。また、鎌倉市議会議員の石川寿美さん、宇都宮市議会議員の西房美さんが参加されました。
 今回は、中継基地局設置における住民合意のあり方(ルールづくり)、事業者による情報公開・説明責任のあり方(ルールづくり)、実態把握のための疫学調査の実施などをテーマとして、中継基地局周辺で健康問題に苦しんでいる人などの声を国の担当者に直接伝えるとともに、できれば担当者から前向きな回答をもらうことを目標にしました。そして、そのための質問書を前もって両省に提出しました。
 さらに、問題提起として、携帯基地局の問題に関わってきた各地の方々から発言していただきました。

各地から報告
 まず、Aさんが、1999年にNTTドコモの基地局が自宅のそばに設置された後、一家で発症したことや、転居先の近くにも基地局が建ち、ドコモ説明会では反対派住民が排除されたことなど(本会報のAさんについての記事を参照)を報告しました。
 「携帯基地局の電磁波を考える鎌倉の会」事務局の保坂令子さんは、神奈川県鎌倉市で施行された、携帯基地局設置に際して住民への説明などを義務付けた条例の課題の一つとして、事業者が説明会後に市へ報告書を提出することが義務づけられたものの、国の方針に従って詳細な設置場所は不開示とされたため、市民が報告書を開示請求しても、どこに基地局が建つのかわからないことを挙げました(会報前号の神奈川県鎌倉市でのシンポジウムの記事を参照)。
 加藤やすこさんは、全国で300件以上の紛争が起きていると言われており、国としてルールづくりが必要ではないか、と提案しました。

「WHOしか拠り所はない」
 続いて、総務省と環境省が質問書に対する回答を述べました。従来通り「WHOの推奨に従って、国際ガイドラインと同等の規制等を行っている」旨の回答でした。また、沖縄県の新城哲治医師の自宅マンションなどで起きた携帯基地局との関連が疑われる健康問題等の調査を行うことについて、総務省は「電波の性質から考えると、地域特有の話ではないと考えられることから、特定の地域ごとの調査ではなく、今後も引き続き、疫学調査も含め電波の生体影響に関する科学的な検証を積み重ねてまいります」との回答でした。
 質疑では、加藤さんがWHOファクトシートの日本語版は誤訳のためか英語版と一部内容が違うこと、電磁波の健康影響については科学的にも意見が対立しているので両論併記すること、新城先生の報告のように国内でも健康被害の事例があるのでWHOの見解を待たずに独自の調査を行うことなどを求めました。
 総務省は、「たくさんの国が参加して開かれた国際機関であるWHOの研究結果を我々は一つの大きな拠り所とせざるを得ない。それ以外は、拠り所としては難しい。そういう場で我々の研究が正しいのかどうかも見ていただく必要がある。訳については我々も精査し、不適切な点があれば修正してまいりたい。(症状について)電波の影響だと言う医師もいるかもしれないが、そうでないという医師もいる。我々が研究委託をしている方々は大学の研究者であり、そういった方々は電波以外の要因(ストレス、薬など)を排除した実験に基づいて研究をしている」と説明しました。
 これに対し、網代は「日本は主権国家であり、WHOの下部機関ではない。電磁波過敏症の発症者を診ている大学研究者もいるし、新城先生も大学病院で研究し、科学者としてのバックグラウンドがある。そういった方々の研究について日本からWHOへインプットしていく必要があるのでは」と反論しましたが、総務省担当者からは明確な回答がありませんでした。
 宇都宮市議の西さんは「私は心臓ペースメーカーを装着しているが、数m離れたところでメールをされても、針が突き刺さるような痛みを感じる。総務省や医師、メーカーは22cm離れれば安全だというが、それではこの痛みは何なのか。電車の中で複数の携帯電話を使って実験したわけではないだろう。私を実験台にしていいから調べてほしい」と発言しました。
 保坂さんは「総務省のホームページでは、基地局の所在を公表しないのは、『破壊活動を誘発する恐れがある』『営業情報に該当するおそれがある』からだとされているが、実際に破壊活動の例があるのか」と質問しました。
 総務省は「過去に1件あったと把握しているが、それ以上の情報はない」と回答。また、国が携帯電話基地局の場所を非公開としている根拠として、市民からの審査請求に対して情報公開・個人情報保護審査会が不開示相当の答申をしたことを挙げ、市民からの新たな請求に対して同審査会が異なった答申をすれば、国としても対応する旨、述べました。
 役所の担当者から前向きな回答をいただくことは、事前の予想通りなかなか難しいことでしたが、実際に苦しんでいる人の声を届け続けていくことは必要だと思います。今後どのように進めていくべきか、あらためて検討したいと思います。【網代太郎】


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